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NISA(ニーサ)で老後に備える

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NISA(小額投資非課税制度)は、個人マネーを市場に呼び込むとともに、一般個人の長期的な資産形成をめざし、2014年からスタートした非課税制度です。ふつうに株式や投資信託に投資した場合、配当金や分配金、売却益に20.315%の税金がかかりますが、NISAを使うとこの税金が0%になります。

 

おひとりさまだけでなくそのほかの人たちにとっても、老後の資金を準備しようという際に、運用益が非課税になるNISAはおトクな制度です。ここでは老後の生活に備える手段としてNISAを見ていきましょう。

 

なぜ老後に備えて株や投資信託での投資がおすすめなのか

 

老後の生活でこわいのはインフレです。もし、老後の生活を貯金だけでまかなおうとするとインフレリスクにさらされます。なぜなら、元本保証の預金では利子の増加よりもインフレによる物価の上昇の方が大きいために、生活を圧迫してしまうからです。また、老後の収入源である年金は給付額がほぼ一定であり、やはりインフレによる物価上昇に弱い性質を持っています。そこで、インフレリスクに備えるために、預金だけでなく、株式や投資信託などでも老後の資金を用意することをおすすめします。

 

一般に、株式や投資信託の場合、インフレ局面、つまり景気好況局面では、配当金や分配金などの収益(インカムゲイン)が増えます。また、株式や投資信託の値段の値上がりによって売却時には売買益(キャピタルゲイン)も期待できます。そのため、インフレになり物価が上がっても、インカムゲインやキャピタルゲインを生活費にまわすことが可能です。

 

とはいえ、株式や投資信託などには元本割れリスクがあります。一般に、株式や投資信託が元本割れを起こすのは景気が悪いとき、デフレのときです。デフレ時にはものが売れなくなり企業の業績が悪化します。しかし、インカムゲインがゼロになったり、株式や投資信託が元本割れになったりしても、デフレで物価が下がるために生活コストが下がり、株式や投資信託からの減収分をある程度吸収することが可能です。

 

つまり、景気や物価に連動する株式や投資信託は、インフレ時に強いだけでなく、デフレ時には物価の下落に助けられるという側面を持っています。そのため、株式や投資信託などは、預金や年金を補完する役割をはたしてくれます。

 

「NISA(ニーサ:小額投資非課税制度)」の概要

 

NISAを利用して、株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、配当金や分配金、売却したときの売却益に20.315%の税金がかかりません。しかし、売却時に損が出た場合に優遇措置はありません。

 

一方、NISAを利用しないふつうの株式や投資信託などの取引では、売却損が出た場合は、ほかの株式や投資信託からの収益から損を差し引きくことができます。さらに、その年の損益がマイナスならその年の損失を翌年に繰り越すことが可能です。

 

要するに、NISAは運用益への非課税がメリットであり、利益が出ないとトクをしない制度です。そのため、投資資産元本の多少の増減は気にせず、長期に金融商品を保有して売るタイミングを見計らい、インカムゲインとキャピタルゲインの両方をねらうという投資法に向いています。

 

NISAには、自分でタイミングを見て金融商品を購入する「NISA」と、定期的に一定額で金融商品を買い進めて積み立てていく「つみたてNISA」があります。NISAを利用する際にはどちらか一つを選ぶことになります。なお、NISA・つみたてNISA間の変更は年単位で可能です。

 

さて、NISAを利用するためには、証券会社や銀行などの金融機関にNISA口座を作り、このNISA口座のなかで株式・投資信託などを売買する必要があります。NISA口座はひとり一口座しか持てず、複数の金融会社でNISA口座を作ることができません。年単位で金融機関を変更することができますが、手続きがめんどうなため、長くつきあえる金融機関を選ぶことが大切です。

 

「NISA」と「つみたてNISA」の比較

 

そのつど自己判断で投資をする「NISA」と、定期的に積み立て投資をしていく「つみたてNISA」には、制度上いろいろな違いがあります。では、それぞれの違いを見ていきましょう。

 

NISA

つみたてNISA

投資対象

金融商品

(※1)

株式投資信託
国内・外国株式
国内・海外ETF(上場株式投資信託)
国内・海外REIT(不動産投資信託)
ETN(上場投資証券)
新株予約券付社債(ワラント債)

一定の条件を満たす投資信託・ETF
(2018年7月現在、152本の投資信託と3本のETFが対象)

非課税期間

最長5年
(購入した金融商品を6年目の非課税投資枠に移すこと(ロールオーバー)により延長保有可能)

最長20年
(購入した金融商品のロールオーバーは不可。金融商品を保有し続けたい場合はふつうの課税口座に移す)

非課税投資枠

新規投資が毎年120万円まで
(非課税投資枠は5年間で最大600万円)

新規投資が毎年40万円まで
(非課税投資枠は20年間で最大800万円)

投資可能期間

2014年〜2023年
(2023年中に購入した金融商品は2027年まで非課税で保有可能)

2018年〜2037年
(2037年中に購入した投資信託は2056年まで非課税で保有可能)

金融商品

購入方法

好きなタイミングで好きな銘柄を随時購入 購入銘柄と投資金額をあらかじめ指定し、毎日購入・毎週購入・毎月購入など金融機関が用意したコースから選択

金融商品

売却方法

好きなタイミングで銘柄を随時売却。 好きなタイミングで銘柄を随時売却。

(※1)金融機関によっては取り扱いのない金融商品や銘柄があります。

 

NISAとつみたてNISAの違い その1:そのつど購入か定期購入か?

 

NISAとつみたてNISAの最大の違いは、「自分でそのつど購入タイミングを決められるか」「定期的に一定額の積み立て投資をするか」という投資スタイルの違いです。ある程度資金も金融知識もある人は、金融商品の購入タイミングを自分で決めたくなるでしょう。一方、資金や金融知識があまりない人は、自分で一つ一つ投資先を探すより、金融の専門家が運用してくれる投資信託に自動的に積み立て投資をする方が気楽でしょう。

 

そのため、資金があり自分で何もかも決めたい人はNISA向け、資金や知識がなく手間をかけずに少しずつ資産を作っていきたいという人はつみたてNISA向けといえます。

 

NISAとつみたてNISAの違い その2:対象になる金融商品が違う

 

NISAとつみたてNISAの次の大きな違いは、非課税になる投資対象金融商品が違うことです。NISAは株式をはじめとするいろいろな金融商品に投資することができますが、つみたてNISAでは金融庁が選んだ一定の条件を満たす投資信託やETFにしか投資できません。そのため、株式などいろいろな金融商品に投資したい人は、NISAを選ぶことになります。

 

一方、投資対象は投資信託やETFで十分という人はNISAでもつみたてNISAでも好きな方を選べます。あとは、「そのつど購入する方がいいか、積み立てがいいか」や「2023年で終わってもいいか、2037年まで続く方がいいか」などを考えて、NISAかつみたてNISAかを選びましょう。なお、年単位でNISA・つみたてNISA間の変更はできるため、「とりあえず今年はNISA口座を作って(一般)NISAにしておこう」でもかまいません。

 

NISAとつみたてNISAの違い その3:非課税対象期間が違う

 

NISAの非課税期間は5年ですが、つみたてNISAの非課税期間は20年です。NISAでは5年の非課税期間が切れる際に、保有金融商品を翌年の非課税投資枠に移すこと(ロールオーバー)により10年まで保有することができます。しかし、NISAの投資期間は2023年までのため、2018年に購入した分は2023年にロールオーバーが可能ですが、2019年以降の購入分はロールオーバーができず5年が非課税期間となります。

 

景気の上昇期や安定期であれば5年のうちに利益が出る売りタイミングを見つけられる可能性は高いでしょう。しかし、金融商品を買ったあとに「リーマン・ショック」のような世界規模の金融危機が起こった場合、5年以内に利益が出る売りタイミングを見つけることは難しくなります。

 

実際に、2008年9月のリーマン・ショックが起きたときは、日経平均株価がリーマン・ショック前の水準に戻るまでに4年半くらいかかりました。また、リーマン・ショックの要因であり2007年末に起きたサブプライム問題のときも、以前の水準に日経平均株価が戻るまでに7年近くかかっています。そのため、大規模な金融危機が起きた場合に備えて、最低でも10年くらいの期間の余裕が欲しいところです。

 

その点、つみたてNISAのように非課税期間が20年あれば、相場の回復を待ってから利益が出る売りタイミングを見つけられる可能性が高くなります。非課税期間の点では、NISAよりも期間が20年と長いつみたてNISAの方が有利です。特に、長期保有によって老後の備えにしたい場合は、2056年まで非課税保有期間があるつみたてNISAが向いているでしょう。

 

個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)とつみたてNISAはどちらがトク?

 

2017年1月から基本的に20歳以上60歳未満の人なら加入できるようになった個人型確定拠出年金・iDeCo(イデコ)。一定額を積み立て投資していく点や、運用中の運用益が非課税となる点ではつみたてNISAに似ています。しかも、iDeCoにはつみたてNISAにはない「iDeCoへの掛け金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になり、所得税・住民税の節税になる」という大きなメリットがあります。

 

一方で、iDeCoには次のような制約があります。
A)iDeCoは原則として60歳まで資産を引き出すことができない。
B)iDeCoは対象金融商品が定期預金・保険商品・投資信託に限られ、しかも加入金融機関が用意した銘柄にしか投資できない。
C)加入時手数料、口座管理手数料、受取時手数料など、さまざまな手数料がかかる
D)60歳で資産を受け取るには10年間の加入期間が必要。50歳を過ぎてからiDeCoに加入すると、受取可能年齢が引き上げられる(加入期間が8年以上10年未満:61歳から、6年以上8年未満:62歳から、…(略)…、1か月以上2年未満:65歳から)

 

そのため、@所得税・住民税が非課税の人(専業主婦・主夫など)、A60歳以前に資金を使う予定がある人、B50歳を超えた人には、自由度の高いつみたてNISAの方がおすすめです。

 

もちろん、iDeCoとNISAは両方に同時投資が可能なため、iDeCo加入で節税メリットを受けつつ、NISAでも非課税で投資をすることができます。したがって、NISAかiDeCoかという二者択一だけでなく、「iDeCoもNISAも」という選択肢も考えてみましょう。

 

以上のように、NISAやつみたてNISAは、株式や投資信託での運用益に税金がかからないおトクな制度です。NISAやつみたてNISAのそれぞれの違いをよく考えた上で、自分のスタイルに合ったNISAで上手に運用をし、老後の備えに役立ててください。

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