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保険の見直しは必要ですか?

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あなたは、自分が払っている生命保険の保険料を把握できていますか。何年も払い続ける保険料が家計に与える影響は小さくないにもかかわらず、保障内容をよく理解していない状態で保険会社の人に勧められるまま契約してしまったという人もいるのではないでしょうか。
生命保険は、ライフステージごとに適切となるプランが変わります。家族構成や貯蓄額により必要な保障や保障額が変わるためです。おひとりさまの生命保険選びの基本についてご紹介します。

 

生命保険の加入率は高い

 

人生を少しでも穏やかに過ごしていくためには、想定されるリスクへの備えが大切です。例えば病気になってしまった場合、病気そのものの問題だけでも大きな心の負担になります。そこに、お金の不安まで加わってしまうと安心して治療に専念できなくなりますよね。

 

そのため多くの人が病気等に備えるための生命保険に加入しており、平均加入率は男性80.6%、女性81.3%となっています。20歳代の人は男性58.2%、女性53.2%と、やや低い傾向にあるものの、30歳代以上になると加入率が80%以上に、ぐんと上がります。

 

出典:生命保険文化センター

 

もちろん、貯蓄が十分あり、生命保険に加入する必要はないと考える人もいます。生活費にあまり余裕がなく、生命保険を後回しにしてしまう人もいます。そのようなケースも含め、どのような状況にいる人であっても、自分で納得できる知識を持った上で生命保険加入の有無や契約プランを決めておくと後悔を生まずに済むでしょう。

 

生命保険加入の有無、そしてプラン選びは、家計やりくりや病気リスクへの備えのための重要な判断の一つなのです。

 

生命保険料の重さ

 

多くの人が加入している生命保険ですが、保険料は人それぞれです。生命保険文化センターの調査によると、年間の生命保険料平均は男性が22.8万円、女性は17.4万円(個人年金保険分も含む)。1カ月あたりに直すと男性1.9万円、女性1.45万円です。

 

また、分布の状況でいうと女性は年間12万円以下の人が最も多く40.8%、男性では年間12〜24万円未満の人が最も多く33.6%となっています。24万円以上をかけている人は男性34.3%、女性22%です。

 

このように、個人差はあるものの生命保険料は家計の中で軽いとはいえない負担額となっています。そのため、払いすぎていないかどうかの定期的な見直しが大切なのです。

 

生命保険見直しの基本

 

生命保険のプランを見直すときは、何に備えたくて生命保険に加入するのか、どのくらいのリスクをカバーしたいのかという基本から考えていきましょう。

 

【生命保険の主な役割】

  • 死亡保障:死亡したときに備える
  • 医療保障:けがや病気に備える
  • 貯蓄保障:資産形成に役立てる

 

死亡保障は残された家族の生活費を残すためという目的が一般的であるため、おひとりさまには必要ありません。おひとりさまが病気リスクに備えて生命保険に求めたい役割は医療保障です。

 

死亡保障を不要と考えると、おひとりさまの生命保険料は先ほどご紹介した平均額よりも大分抑えられます。かけすぎず、しかし保障が足りずに後悔するようなことにならないような医療保険プラン選びが重要。

 

将来不安に備える貯蓄の手段については、個人年金のほか、iDeCoや積み立てNISAなども検討対象になります。貯蓄型保険が特に優れた貯蓄方法というわけではありません。生命保険にこだわらず、自分に合った貯蓄方法を選びましょう。

 

公的な保障の存在を認識

 

医療保険を選ぶとき、どのくらいの保障プランにすればいいかと迷う人は少なくありません。例えば月額保険料に2,000円の差がある医療保険商品二つで迷ったとすると、その差は1年で2.4万円、10年で24万円、30年で72万円にもなります。

 

保険料を抑えるためには、公的制度の知識が役立ちます。その一つ目として挙げられるのが高額療養費制度です。医療費が高額となったときに自己負担額を軽減してもらえます。

 

具体的なイメージでいうと、ある人の、ある医療機関における、ある月にかかった自己負担が高額となったとき、一定額を超えた分を払い戻してもらえるということです。複数の医療機関にかかった場合は、自己負担額が21,000円以上になった分のみ合算できます(世帯合算も可能)。

 

例:下記を全て合算できる

  • A病院で2018年3月にかかった花子さんの自己負担額(21,000円以上)
  • B病院で2018年3月にかかった花子さんの自己負担額(21,000円以上)
  • C病院で2018年3月にかかった花子さんの自己負担額(21,000円以上)

 

高額療養費制度の自己負担限度額

 

高額療養費制度では、年収に応じた自己負担限度額が定められています。年収の少ない人ほど医療費を軽減できる仕組みです。

 

69歳以下の人の具体的な自己負担限度額は下記のとおり。なお、過去12カ月以内に高額療養費制度適用となった月が3回以上あった場合、4回目からは、さらに上限額が下がります。

 

【年収目安:自己負担限度額:4カ月目以降】

  • 約1,160万円〜:252,600円+(医療費-842,000円)×1%:140,100円
  • 約770〜1,160万円:167,400円+(医療費-558,000円)×1%:93,000円
  • 約370〜770万円:80,100円+(医療費-267,000円)×1%:44,400円
  • 〜年収約370万円:57,600円:44,400円
  • 住民税非課税者:35,400円:24,600円

 

出典:厚生労働省

 

例として、ある月の医療費が100万円となり自己負担が3割の30万円であった場合の高額医療費負担上限について見てみましょう。年収別の負担上限例は下記のとおりです。

 

【年収目安:高額医療費負担上限例】

  • 約1,160万円〜:254,180円
  • 約770〜1,160万円:171,820円
  • 約370〜770万円:87,430円
  • 〜年収約370万円:57,600円
  • 住民税非課税者:35,400円

 

上記上限額を超えた支払い分(30万円との差額)が高額療養費として支給(払い戻し)されます。

 

保険適用外の費用について

 

高額療養費制度はありがたい制度ですが、入院中の食事代や差額ベッド代、先進医療費など保険適用外の費用の分は支給対象とならない点に注意が必要です。高額療養費制度対象外の費用も考えた上で、貯蓄でどの程度まかなえるのか、生命保険で備えておくのかを検討するとよいでしょう。

 

このとき、保険適用外の分も含めての入院費の備えを考えるとき、入院日数がどのくらいになるか気になりますね。病気や症状によって変わるという前提はありますが、参考までに厚生労働省の患者調査による平均在院日数をご紹介すると31.9日です。30日以内に病院を退院する人の割合は83.2%、半年以上の入院をする人は、わずか1.6%となっています。入院期間が短いケースの多いことがわかるデータですね。

 

出典:厚生労働省

 

また、生命保険文化センターの調査による入院時自己負担費用(5年間分の集計)も紹介しておきましょう。差額ベッド代や食事代、交通費や日用品費なども含んだ金額です。

 

【入院時の自己負担費用及び割合】

  • 5万円未満:7.6%
  • 5〜10万円未満:17.5%
  • 10〜20万円未満:39.3%
  • 20〜30万円未満:13.1%
  • 30〜50万円未満:13.1%
  • 50〜100万円未満:5.3%
  • 100万円以上:4.1%

 

出典:生命保険文化センター

 

貯蓄をある程度しておけば、生命保険の高いプランに無理に加入する必要はないと感じられるデータではないでしょうか。

 

会社員であれば傷病手当金も支給される

 

知っておきたい公的制度の二つ目は、傷病手当金です。病気やけがで仕事ができなくなった会社員には傷病手当金が支給されます。4日目以降の休んだ日数に対して給料の3分の2が支給されます。

 

【傷病手当金のポイント】

  • 療養中で4日以上仕事を休んだときに支給される
  • 1日につき標準報酬日額の3分の2が支給される
  • 1年6カ月分まで支給される

 

出典:厚生労働省

 

高額医療費制度や傷病手当金を考慮に入れた上で生命保険商品を選ぶようにすると、保険料を抑えめにできます。年収が低い人は貯蓄をなかなか増やしづらいため、生命保険料を抑えられた分を貯蓄に回しておきたいところです。病気のリスクだけでなく長生きのリスクも忘れるわけにはいきませんね。

 

がん保険・がん特約について

 

先にご紹介したように、保険適用外となる先進医療の費用は高額療養費制度の対象外です。しかし、がんが日本人の死因順位1位という事実もあり、高額な陽子線治療などの先進医療のための備えが気になる人もいるでしょう。

 

出典:厚生労働省

 

がんになったときに診断給付金が欲しいのか(貯蓄があれば必要ないと考えることも可能)、治療が長引いたときのために入院や通院の給付金を手厚くしておきたいのか、高額な先進医療を受けられるようにしておきたいのか、など具体的な目的を明確にしておけば、希望に合ったがん保険・がん特約を選びやすくなります。

 

女性専用の医療保険やがん保険もありますが保険料の高めなケースが多く、女性だからといって女性専用の商品にこだわる必要はありません。

 

生命保険料控除で節税しよう

 

生命保険料は所得税控除に適用できます。生命保険料控除という制度です。私たちが所得税を納めるときは個人的事情を配慮した所得控除制度を適用してもらえるようになっており、その中に生命保険料控除が含まれているのです。控除で節税できる割合は所得額によって異なります。

 

【課税所得金額:所得税率】

  • 195万円以下:5%
  • 195万円超330万円以下:10%
  • 330万円超695万円以下:20%
  • 695万円超900万円以下:23%
  • 900万円超1,800万円以下:33%

 

出典:国税庁

 

例えば課税所得300万円の人は生命保険料の約1割の金額を節税でき、課税所得400万円の人は生命保険料の約2割の金額を節税できるというイメージです。住民税の負担も軽減されます。

 

【生命保険料控除の種類】

  • 一般生命保険料控除:生存または死亡に起因して一定の保険金などを支払う部分の保険料
  • 介護医療保険料控除:入院、通院に伴う給付にかかわる保険料
  • 個人年金保険料控除:個人年金の保険料

 

主契約と特約のセットで死亡保障と医療保障が一緒になった生命保険を契約する場合もありますが、上記のように保障内容によって一般生命保険料控除適用になるか、介護医療保険料控除適用になるかが決まります。よくわからないときでも保険会社の人に聞けば、どちらの適用になるか教えてもらえるため心配は要りません。

 

一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料それぞれで下記の金額が控除されます。

 

【年間払込保険料額:控除額】

  • 20,000円以下:全額
  • 20,000円超40,000円以下:(払込保険料×1/2)+10,000円
  • 40,000円超80,000円以下:(払込保険料×1/4)+20,000円
  • 80,000円超:一律40,000円

 

このような所得税控除メリットを生かせる金額を医療保険選びのときの保険料目安にするという考え方も一つですね。1,500円/月の医療保険であれば18,000円/年となり全額控除の対象です。2,000円/月だと24,000円/年、3,000円/月だと36,000円/年となり、それぞれ22,000円、28,000円が控除の対象となります。

 

 

ライター
琴子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP。
生活に役立つお金の話をわかりやすく伝えるをモットーに活動中です。

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