転職エージェントから届いた求人を見て、52歳の一人暮らしの女性は返信画面を閉じました。勤務地が遠く、希望する週3日の働き方とも違います。「断ったら次の求人を紹介してもらえないかも」と迷い、数日たってからさらに返信しづらくなっていました。
転職エージェントは、求人紹介・応募・選考中・内定後・活動休止のどの段階かを明記し、理由を一つに絞って早めに伝えれば断れます。「今回は見送ります」に加えて、続けたい条件、再紹介を止める期間、連絡方法を添えると、担当者とのやり取りが整理されます。
断る対象を最初に分ける
「エージェントを断る」といっても、紹介された求人だけを見送るのか、応募を取り消すのか、内定を辞退するのか、サービス利用を休止するのかで連絡内容が変わります。対象を曖昧にしたまま「もう結構です」と送ると、別の求人紹介や確認連絡が続くことがあります。

| 断りたいもの | 伝える要点 | 急ぐ度合い |
|---|---|---|
| 紹介求人 | 今回見送る理由と希望条件 | 応募前に早めに |
| 応募・選考 | 辞退する求人名と謝意 | 次の選考前に |
| 内定 | 辞退の意思と連絡先 | 知った時点で速やかに |
| サービス利用 | 休止・退会の希望日と連絡停止 | 次回連絡の前に |
求人情報を集めるだけのサービスと、求人・求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんする職業紹介は、仕組みが同じではありません。登録時の利用規約と担当者からの案内を確認し、応募手続を誰が行ったのかを把握してから連絡します。
紹介求人を断るときの例文
応募前なら、求人そのものを見送るだけなので、長い説明や個人的な事情の開示は必要ありません。勤務地、勤務日数、給与、仕事内容など、次の紹介に役立つ条件を一つか二つ添えます。

条件が合わないとき
「ご紹介ありがとうございます。検討しましたが、今回は見送らせてください。勤務地が片道1時間を超えるためです。今後は自宅から30分以内、週3日、残業なしの求人をご紹介いただけると助かります。」
仕事内容が想定と違うとき
「求人をご案内いただきありがとうございます。運転業務を希望していましたが、今回の求人は営業業務の比重が大きいため応募を見送ります。接客よりも事務作業を中心に、未経験可の求人があればご連絡ください。」
理由を「なんとなく嫌だから」で終えず、変えられない条件と相談できる条件を分けます。担当者が条件を調整して再提案できるため、断ることが次の求人探しの材料になります。
応募後・面接前の辞退を伝える例文
応募後は、求人を見送るだけでなく、企業との選考を止めたい意思を伝えます。担当者が企業へ連絡する場合があるため、求人名、応募日、次の予定が分かれば一緒に書きます。

「いつもお世話になっております。○月○日に応募した○○職について、選考辞退を希望します。家庭の予定と勤務時間を再検討した結果、継続が難しいと判断しました。企業ご担当者へのご連絡をお願いいたします。ご迷惑をおかけし申し訳ありません。」
面接日時が決まっている場合は、無断で欠席せず、分かった時点で連絡します。体調や家族の事情など詳細を書きたくない場合は、「一身上の都合」で留めても構いません。理由を詳しく聞かれても、次の応募に不要な個人情報まで説明する必要はありません。
内定を辞退するときは早く、簡潔に伝える
内定の連絡を受けた後に辞退を決めたら、返事を先延ばしにせず、担当者へ電話または指定された連絡方法で伝えます。メールだけでよいか、企業へ直接連絡するのかは、エージェントの案内に従って確認します。

「内定のご連絡をいただき、ありがとうございました。慎重に検討しましたが、今回のポジションは辞退させていただきたく、ご連絡しました。お時間をいただいたにもかかわらず申し訳ありません。企業ご担当者へのご連絡方法をご指示ください。」
すでに入社を承諾した、契約書に署名した、入社日が決まっているなどの場合は、個別の契約関係が生じている可能性があります。ここで「必ず辞退できる」「違約金が必ずない」と断定せず、承諾書や契約書を確認し、まずエージェントと企業へ早めに相談します。トラブルが解決しない場合は、労働局などの相談窓口を利用します。
転職活動を休止・退会するときの例文
転職をいったん止める場合は、求人を断る連絡とサービス利用を止める連絡を分けます。再開時期が決まっていなければ無理に約束せず、連絡を止めてほしい方法と、登録情報の扱いを確認します。

「いつもお世話になっております。現在の生活予定を見直すため、○月末まで転職活動を休止したいです。休止中は求人紹介と電話連絡を停止してください。再開時期が決まりましたら、こちらからご連絡します。登録情報の保管期間と、退会が必要な手続も教えてください。」
退会したい場合は、「サービスの利用を終了したいです。退会手続と、登録した履歴書・職務経歴書などの情報の取り扱いを確認したいです」と書きます。個人情報の利用目的や苦情窓口が登録時の規約に書かれていることもあるため、退会前に保存が必要な連絡履歴を確認します。
返信が負担になったときの対処
連絡が多すぎる、希望と違う求人が繰り返し届く、断っても応募を急かされると感じる場合は、感情的に長文で返さず、希望する連絡方法と頻度を明記します。

- 連絡はメールのみ、電話は平日の午後など時間を指定する
- 希望条件に合う求人があるときだけ連絡してほしいと伝える
- 担当者の変更や苦情窓口を利用できるか確認する
- 求人名、日時、断った内容、相手の返答を保存する
- 個人情報の利用目的と第三者提供の範囲を規約で確認する
職業紹介事業者は、求職者の個人情報を業務の目的に必要な範囲で扱うことが求められています。履歴書に書いた住所や病歴など、応募に不要な情報まで別の求人先へ送ることに不安があれば、送付前に説明と同意の範囲を確認します。
担当者を変えるかサービスを替えるか決める
希望条件が伝わらないだけなら、まず条件を整理して担当者へ再度伝える方法があります。それでも希望と違う求人が続く、断った案件への応募を急かされる、連絡方法の希望が守られない場合は、担当者変更やサービスの利用休止を申し出ます。
| 状況 | 先に試すこと | 改善しない場合 |
|---|---|---|
| 求人の方向が少し違う | 希望条件を優先順位つきで再共有 | 担当者変更を相談 |
| 連絡が多い | 方法・曜日・時間を指定 | 休止・退会の窓口を確認 |
| 応募を急かされる | 応募判断は自分で行うと明記 | 記録を残して苦情窓口へ |
| 個人情報が不安 | 利用目的と送付先を確認 | 提供停止・削除方法を相談 |
担当者変更の例文は、「ご紹介いただく求人の方向性を見直したいため、担当者の変更を希望します。これまでの応募状況と希望条件は引き継いでください。変更手続と、今後の連絡窓口を教えてください」です。担当者への不満を長く書くより、変更したい理由と引き継ぎたい情報を短く示します。
別のサービスへ移る場合も、同じ企業へ重複応募しないよう、応募済みの求人名と選考状況を自分で一覧にします。退会した後に確認できなくなることがあるため、応募日、企業名、担当者の回答、面接日、内定の有無を手元に保存してから手続します。
断る前に3行で整理する

- 対象:紹介求人、応募、内定、利用休止のどれかを書く
- 理由:勤務地・時間・仕事内容など、判断に必要な一つを書く
- 次の希望:再紹介条件、連絡停止、担当者への依頼を書く
送信前に、求人名や企業名が別の案件と混ざっていないか、内定辞退なのか面接日変更なのかを読み返します。急いでいる場合は、先に電話で意思を伝え、同じ内容をメールで残すと確認しやすくなります。
そのまま使える断り方チェックリスト

- 何を断る連絡かを一文で書いたか
- 求人名・企業名・選考段階を取り違えていないか
- 理由を一つに絞り、必要以上の個人情報を書いていないか
- 再紹介してほしい条件、または連絡停止の希望を書いたか
- 内定承諾や契約書の有無を確認したか
- 担当者への連絡方法と、企業への連絡者を確認したか
- 送信日時と返答を保存できる状態にしたか
よくある疑問
求人を断ると、次から紹介されなくなりますか?
希望条件が分かれば、紹介求人を調整しやすくなります。断る理由を一つと、希望する勤務地・勤務日数・仕事内容などを具体的に伝え、それでも合わない場合は担当者変更や別サービスの利用を検討します。
転職エージェントからの連絡を無視してもよいですか?
返信を止めるより、活動休止や連絡方法の変更を短く伝える方が行き違いを減らせます。選考中や内定後は、無断欠席や返事の先延ばしを避け、決めた時点で連絡してください。
内定辞退の理由を詳しく説明する必要はありますか?
辞退の意思と連絡方法が伝われば、詳細な私生活まで説明する必要はありません。ただし、承諾書や契約書に署名した後は個別の状況が関係するため、書面を確認して早めに相談します。
退会すれば個人情報はすぐ消えますか?
保管期間や削除方法は事業者の規約・個人情報方針によって異なります。退会前に、履歴書や職務経歴書の利用目的、保管、削除請求や問い合わせ窓口を確認してください。
職業紹介と求人情報提供の違いは厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分」、職業紹介事業者に関する案内は厚生労働省「職業紹介事業」、雇用仲介事業者の留意事項は厚生労働省「労働者派遣・職業紹介・募集情報等提供事業等」を確認しました。
個人情報の扱いの例はハローワークインターネットサービスのプライバシーポリシーを2026年9月18日に確認しました。内定後の契約関係、個人情報の削除、苦情対応は事業者の規約と個別事情で変わるため、早めに担当窓口へ確認してください。
