本文へ進む

ひとりの今を楽しみ、これからに備える。

注目の特集退職後、最初に届くお金の話
MENU

定年は何歳?60歳定年と65歳までの雇用確保・70歳の努力義務の整理

会社から「60歳以降の働き方を面談で確認します」と言われた58歳の一人暮らし。定年は60歳なのか、65歳まで働けるのか、70歳まで残れるのかが分からず、家賃と年金の見通しも気になっています。

結論から言うと、60歳定年は可能です。ただし、定年を65歳未満に定める会社は、65歳までの定年引上げ、継続雇用制度、定年廃止のいずれかを講じる必要があります。70歳までの就業確保措置は会社の努力義務で、あなたが70歳まで雇用される権利を意味しません。まず就業規則と定年後の労働条件通知書を確認し、年金と給与は別々に見通しを立てます。

60歳の定年、65歳までの雇用確保、70歳までの就業確保を順に整理したイメージ図
60歳・65歳・70歳は、同じ「働ける年齢」という意味ではありません。(イメージ画像)
目次

まず「定年」と「65歳まで働ける仕組み」を分けて考える

定年年齢と雇用確保措置を分ける

このテーマで混乱しやすいのは、定年年齢と、会社が用意する雇用確保の仕組みが同じものとして語られることです。定年は会社の就業規則に定める、雇用契約が終了する年齢です。一方、65歳までの雇用確保は、60歳などで定年を迎えた後も働き続けられるよう、会社が制度を用意する義務を指します。

厚生労働省は、定年を65歳未満に定める事業主に対し、65歳までの定年引上げ、65歳までの継続雇用制度、定年制の廃止のいずれかを講じるよう求めています。自社がどれを採用しているかは、求人票の一般論ではなく、就業規則と人事からの説明で確認しましょう。

答えを急いで「65歳まで同じ条件」と考えない

65歳まで働く道があっても、給与、勤務日数、勤務時間、職務、勤務地、契約期間、更新条件が変わることがあります。制度があることと、今の仕事・賃金がそのまま続くことは別です。

一人暮らしの50代女性が就業規則と労働条件の資料を照合しているイメージ
会社の一般的な説明ではなく、自社の規程と提示書面を照合します。(イメージ画像)

最初に見る資料は、会社案内や同僚の経験ではなく、自社の就業規則です。定年の年齢、継続雇用を申し込む時期、勤務条件の決め方、契約更新の基準がどこに書かれているかを確認します。規程が複数ある場合は、正社員向けか、再雇用者向けかも区別してください。

規程に書かれた制度は会社全体の枠組みで、実際に提示される条件は個別の労働条件通知書で決まります。ふたつの内容が違って見えるときは、どちらが自分に適用されるのかを人事に質問し、説明の日時と回答をメモしておきます。早く返事をするよう求められても、比較する資料がそろうまでは、分からない条件を推測して同意しないようにします。

あなたの会社が用意している、65歳までの3つの形

就業規則で会社の制度を確認する

定年を65歳へ引き上げる制度、継続雇用制度、定年を廃止する制度を比較するイメージ図
3つの制度のどれを採用しているかで、確認すべき労働条件が変わります。(イメージ画像)
会社の制度仕組み本人が確認すること
定年を65歳まで引き上げる定年年齢そのものを65歳までにする65歳までの職務、賃金表、勤務時間、65歳以降の扱い
継続雇用制度いったん定年を迎えた後、再雇用などで働き続ける契約期間、更新、給与、職務、勤務日数、勤務地、社会保険
定年を廃止する定年年齢を設けず、雇用契約の終了は別のルールで判断する退職・解雇・契約更新の条件、役割変更、評価、賃金

「再雇用だから必ずパートになる」「定年を引き上げたから給与は同じ」とも限りません。会社の規程と、面談で提示される労働条件通知書の両方を照らし合わせます。口頭で聞いた条件は、後で確認できる形にしておくと安心です。

定年後に変わるかもしれない条件を、紙に並べる

給与・時間・職務・勤務地を比べる

定年後の給与、勤務時間、職務、勤務地、契約期間を現在の条件と比べるイメージ
給与だけでなく、時間・仕事内容・通勤を一緒に比べます。(イメージ画像)

一人暮らしでは、額面の月給だけでなく、手取りと生活時間の変化が重要です。次の項目を、現在と定年後の案で横に並べてください。

  • 給与の額面、手取りの見込み、賞与・退職金の扱い
  • 週の勤務日数、1日の勤務時間、残業、休暇
  • 仕事内容、責任の範囲、評価方法、研修の有無
  • 勤務地、通勤時間、交通費、在宅勤務の可否
  • 契約期間、更新の有無、更新判断の基準、契約終了年齢
  • 健康保険、厚生年金、雇用保険などの加入条件

雇用形態が変わる場合は、名称だけで判断しません。「契約社員」「短時間勤務」と書かれていても、実際の勤務日数や社会保険の扱いは会社と働き方によって異なります。労働条件通知書を受け取ったら、分からない項目を空欄のままにせず、人事に質問しましょう。

70歳までの「努力義務」は、雇用の約束ではない

70歳までの就業確保措置として雇用継続、別の雇用先、業務委託、社会貢献を示す分岐図
70歳までの就業確保措置には、雇用以外の形も含まれます。(イメージ画像)

70歳までについて、会社には就業機会を確保するための努力義務があります。制度上の選択肢には、70歳までの定年引上げ、継続雇用、定年廃止のほか、別の事業主による雇用、継続的な業務委託契約、社会貢献事業への従事などがあります。

ここで大切なのは、努力義務を「自分が希望すれば70歳まで今の会社で雇ってもらえる」と読み替えないことです。自社がどの措置を導入しているのか、対象者、仕事の内容、報酬、契約期間、費用負担を確認し、雇用契約なのか業務委託なのかを区別します。業務委託なら、雇用契約とは税や社会保険、仕事上の責任の考え方が変わるため、名称だけで受け入れないでください。

年金と給与は、同じ表に入れる前に仕組みを確認する

一人暮らしの女性が年金の見込額と給与の資料を別々に確認しているイメージ
年金の見込額と給与の条件を、別の資料で確認します。(イメージ画像)

働きながら老齢厚生年金を受け取る場合は、在職老齢年金の調整が関係することがあります。2026年4月からは、賃金と老齢厚生年金の基本月額の合計が月65万円を超える場合に、超えた額の2分の1が支給停止の対象になる仕組みです。これは制度上の基準額であり、あなたの年金が必ず減る金額を示すものではありません。老齢基礎年金は、この在職老齢年金の調整対象とは分けて扱われます。

給与の「総報酬月額相当額」や年金の「基本月額」の計算には前提があります。賞与の扱いや年金の種類を自己流で足し算せず、日本年金機構の在職老齢年金の基準額変更の案内在職老齢年金の用語説明を確認してください。自分の見込額はねんきんネットや年金事務所で確認し、記事の例を自分の受給額だと思わないようにします。

家計から「何歳まで働くか」を決める

一人暮らしの男性が食費や住居費を含む定年後の家計を計算しているイメージ
働く年齢は、年齢だけでなく家賃・生活費・年金見込みから考えます。(イメージ画像)

「70歳まで働けるか」より先に、「何歳まで、どの程度の時間なら生活を守れるか」を決めます。家賃、光熱費、食費、医療費、通信費、税・社会保険料を月の支出として書き出し、定年後の手取り見込みと年金の見込額を別に置きます。

たとえば、勤務日数を減らすと収入は下がっても通院や家事の時間を確保できるかもしれません。逆に、給与が高く見えても、長い通勤や勤務時間で食費・交通費・体調への負担が増えることがあります。制度が使えるかだけでなく、守りたい暮らしと交換条件を比べてください。

有料サービスを使わずに、今週できる確認

就業規則の確認、人事への質問、年金と家計の確認を一週間で進める流れのイメージ図
最初から申込みをせず、手元の資料と公的な窓口で順番に確認します。(イメージ画像)
  1. 1日目:就業規則で定年年齢、継続雇用、更新条件、賃金の決め方を確認する。見つからなければ人事に閲覧方法を聞く。
  2. 2〜3日目:現在の給与明細と、提示された定年後の労働条件通知書を並べる。次の質問をメモする。
  3. 4日目:「65歳までの制度は3つのうちどれか」「70歳までの措置は何か」「契約更新の基準は何か」を人事に聞く。
  4. 5〜7日目:ねんきんネットの見込額を確認し、家賃・生活費・通勤費を含めた月の不足額を計算する。必要なら年金事務所やハローワークへ相談する。

人事に聞くときは、「65歳まで働けますか」だけで終わらせず、「勤務時間と給与はどう決まりますか」「更新されない場合の基準は何ですか」「社会保険の加入条件は何ですか」と具体化します。会社の説明と通知書が違う場合は、その場で署名せず、違いを確認してください。

人事面談で聞くことを、生活の条件に翻訳する

制度の名称を覚えるだけでは、面談の場で判断できません。たとえば「継続雇用制度があります」と説明されたら、次のように生活に関わる質問へ置き換えます。58歳の一人暮らしなら、月の手取りが下がったときに家賃を維持できるか、勤務日数が減ったときに社会保険や年金の見込みがどう変わるかまで見ておく必要があります。

会社から聞く制度上の説明本人が続けて聞く質問
65歳まで継続雇用する申し込みの時期、契約期間、更新回数、更新しない場合の基準は何か
勤務日数を減らせる週何日・何時間か。給与、交通費、休暇、社会保険の扱いはどうなるか
役割を見直す責任範囲、評価、研修、職務変更の決め方を誰がいつ説明するか
70歳までの制度も検討する雇用なのか業務委託なのか。報酬、契約解除、仕事上の費用負担はどうなるか

会社がまだ条件を決めていない場合は、「未定」を「働ける」と読み替えません。決定予定日、次に確認できる窓口、条件が提示される書面を聞き、家計の判断を保留にします。逆に、今すぐ退職を勧められても、定年後の選択肢や雇用保険の扱いを確認する前に結論を急がないことが大切です。

定年の確認でよくある早合点

早合点確認し直すこと
60歳定年なら、60歳で必ず退職する会社が65歳までの定年引上げ・継続雇用・定年廃止のどれを採用しているか
65歳まで働けるなら、今と同じ給与・職務である定年後の労働条件通知書、契約期間、更新条件、勤務時間
70歳までの努力義務があるから、70歳まで雇用される会社が導入する措置の種類。雇用以外の業務委託や社会貢献も含まれる
給与があると、年金はすべて止まる在職老齢年金の対象となる年金、基本月額、総報酬月額相当額を公式情報で確認する

高年齢者雇用の制度と手続きは、厚生労働省の高年齢者雇用安定法に基づく雇用確保措置、70歳までの制度は高年齢者雇用安定法の概要で確認できます。会社ごとの制度は、これらの一般説明だけで確定せず、自社の就業規則を優先して確認してください。

今日の持ち帰り
  • 60歳定年、65歳までの雇用確保、70歳までの努力義務は別の話。
  • 65歳までの制度があっても、給与・時間・契約・職務が同じとは限らない。
  • 70歳までの努力義務は、個人の雇用保証ではない。
  • 就業規則、労働条件通知書、ねんきんネット、家計の4点を順番に確認する。

定年後の働き方を決める前に、条件を紙に並べる

定年の年齢だけでなく、再雇用後の勤務日数、給与、通勤時間、年金との組み合わせまで確認しておくと、退職後の生活を具体的に想像できます。制度を調べるときは、働き方とお金を一緒に整理できる本を手元に置くと、家族や勤務先へ質問する項目も作りやすくなります。

Amazonで定年後の働き方・年金の本を探す

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

おひとりさまの生活設計を専門にする編集・調査チームです。編集部には、老後・お金、住まい、仕事・副業、転職・婚活、旅・食事、美容・セルフケアの各分野に詳しいスペシャリストが在籍し、それぞれの実務経験や実体験をもとに執筆・確認しています。経験談をそのまま押しつけるのではなく、年齢、収入、住む場所、体力、時間、予算など条件を分け、費用・手間・続けやすさ・失敗しやすい点まで比較できる判断材料に整理します。制度や料金は公式情報と更新履歴を照合し、旅や食事は現地の動線と一人での過ごし方を具体化。調査、論点整理、構成、比較設計、表現・リンクの品質確認を分担し、広告提携の有無と記事の評価軸を分けています。専門家集団として、読者が自分の基準で次の一歩を決められる編集を行います。