簿記の知識がない会社員のAさんは、仕事のあと毎日1時間なら勉強できそうだと考えました。ただ、問題集を開いても仕訳の意味が分からず、2か月で間に合うのか不安です。
簿記3級は、最初から難問を解く資格ではありません。仕訳のルールを理解し、毎日短時間で反復し、最後に60分の問題へ慣れる順番なら、1日1時間を8週間の目安に計画できます。合格を保証するものではないため、模試の結果で受験時期を調整します。
※試験時間・合格基準・出題範囲は変更される可能性があります。受験前に日本商工会議所の公式情報を確認してください。以下は2026年度の公式試験情報を確認したうえでの学習計画です。
簿記3級の試験条件を先に確認する
日本商工会議所の公式案内では、簿記3級は商業簿記、試験時間60分、合格基準70%以上、3題以内とされています。ネット試験では選択式と入力式があり、仕訳問題では勘定科目や金額を正確に入力する必要があります。

| 確認項目 | 公式情報 | 勉強への反映 |
|---|---|---|
| 科目 | 商業簿記 | 仕訳から決算まで一つの流れで学ぶ |
| 時間 | 60分 | 後半は時間を測って解く |
| 合格基準 | 70%以上 | 模試で安定して超えるか確認 |
| 方式 | ネット試験・統一試験など | 申込先と受験環境を確認 |
試験日や申込方法は受験地・試験方式で異なります。2か月後に受けるなら、最初の週に公式ページと受験希望地を確認し、申込期限やネット試験会場の空き状況を調べます。受験日を先に決める場合も、学習が遅れたときの予備週を残します。
56時間をどう配分するか
1日1時間を56日続けると、合計は約56時間です。ただし、すべての日に新しい内容を入れる必要はありません。基礎理解に20時間、仕訳と帳簿の演習に20時間、模試と復習に12時間、受験準備と予備に4時間というように、目的を分けて見積もります。
平日に40分しか取れない日は、休日に2時間追加して帳尻を合わせる方法もあります。休日に長時間続けると疲れる人は、土日に60分ずつ行い、平日は短い復習を続けます。生活に合わせて時間割を変えても、復習を完全に削らないことがポイントです。
| 週 | 学習の中心 | 到達の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2週 | 5分類・基本仕訳 | 取引を増減に分けられる |
| 3〜4週 | 帳簿・試算表・決算 | 数字の流れを説明できる |
| 5〜6週 | 苦手補強・時間演習 | 時間内に一通り解ける |
| 7〜8週 | 模試・復習・受験準備 | 合格基準を安定して超える |
1日1時間を4つに分ける
1時間を一気に使えない日は、朝20分、昼10分、夜30分に分けても構いません。大切なのは、読むだけの日を続けず、必ず手を動かす時間を入れることです。

| 時間 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 10分 | 前日の仕訳を再現 | 忘却を防ぐ |
| 20分 | 新しい論点を読む | ルールを理解する |
| 20分 | 仕訳・問題を解く | 入力と判断を練習する |
| 10分 | 間違いを記録 | 次回の復習箇所を決める |
疲れている日は新しい範囲を進めず、前日の仕訳5問だけでも学習記録を残します。1日休んだら翌日に2時間詰め込むのではなく、計画を1日ずらし、最後の予備日で調整します。
教材は主教材を一つ決める
初心者は、説明、例題、問題演習が一つの流れになっている教材を主教材にします。購入前に目次を確認し、簿記3級の出題範囲、仕訳、帳簿、試算表、決算まで扱っているかを見ます。古い教材を使う場合は、公式の出題区分表と違いがないか確認します。
動画や無料問題は、主教材の理解を補う目的で使います。解説を見て分かった気にならず、画面を閉じたあと同じ問題を自分で解けるかを確認します。解答を見ない時間を最初から決めると、答えの丸写しを防げます。
平日と休日の時間割例
平日は前日の仕訳10問と新しい説明20分、最後に間違いの記録を行います。土曜日は平日の復習とまとまった問題演習、日曜日は短い復習と翌週の計画にします。毎週一日は完全に休む場合でも、週の合計時間と復習日を先に決めておけば、計画を見失いにくくなります。
残業が多い週は、復習を優先し、新しい論点を翌週へ送ります。
計画を変えた理由も記録します。
翌週の開始点が明確になります。
無理なく続けます。
記録を見て調整します。
次の一時間を決めます。
焦らず進めます。
一歩ずつ続けます。
今日の分を行います。
1〜2週目は仕訳の型を覚える
最初は借方・貸方を暗記するより、取引によって資産、負債、純資産、収益、費用のどれが増減したかを考えます。現金、売掛金、買掛金、売上、仕入、給料など、頻出する勘定科目を一つずつ確認します。

仕訳を解く順番
- 取引の事実を短い言葉に置き換える
- 増えたものと減ったものを分ける
- 勘定科目を選ぶ
- 借方・貸方へ置く
- 金額と勘定科目を見直す
間違えた問題は答えを写して終わりにせず、どの段階で迷ったかを書きます。「科目が分からない」「左右が逆」「金額を読み落とした」のように原因を分けると、復習方法を変えられます。
仕訳の具体例で考える
たとえば現金で消耗品を購入した場合は、消耗品という費用が増え、現金という資産が減ります。商品を掛けで販売した場合は、売上が発生し、まだ受け取っていない代金を売掛金として記録します。このように、取引の意味を言葉にしてから勘定科目へ置き換えます。
例題の数字や科目を少し変えて解くと、記憶だけで答える癖に気づけます。自分で説明できない問題は、正解していても復習欄へ入れます。
3〜4週目は帳簿と決算をつなげる
仕訳が少し解けるようになったら、仕訳が総勘定元帳や試算表へどう集計されるかを確認します。帳簿の形を丸暗記するより、取引を記録し、残高を集計し、決算で調整して財務諸表へつなげる流れを見ます。

- 仕訳帳から総勘定元帳へ転記する
- 勘定ごとの残高を試算表で確認する
- 決算整理で未処理の調整を行う
- 損益計算書と貸借対照表の役割を分ける
合計が合わないときは、最初から全部やり直しません。借方・貸方の合計、転記した金額、勘定科目の選択を一か所ずつ照合します。間違いの場所を探す練習も本番に役立ちます。
5週目は苦手論点を一つに絞る
4週目までに解いた問題を見返し、正答率ではなく間違いの種類を数えます。仕訳は解けるのに試算表で止まる、決算整理だけ金額を落とすなど、苦手を一つの文章にします。

苦手が複数あるときは、点数への影響と次の論点とのつながりで優先順位を決めます。細かな例外を先に追いかけず、仕訳、帳簿、試算表、決算の基本に戻ります。教材を増やす前に、今使っている教材の例題を自力で解き直します。
6週目は問題を時間内に解く
6週目からは、60分を意識して複数の問題を続けて解きます。最初は時間が足りなくても、どの問題に時間を使ったかを記録します。計算が遅いのではなく、問題文の読み返しが多い場合もあります。

時間配分の試し方
- 最初に全体を読み、解ける問題を見つける
- 仕訳など確実に取れる問題から解く
- 迷う問題に印を付けて先へ進む
- 最後に金額・科目・入力を見直す
時間配分は一つに固定せず、模試ごとに結果を比較します。ネット試験を選ぶ場合は、入力方式や電卓の扱いなど、公式の受験注意事項も早めに確認します。
7週目は模試と復習をセットにする
模試を解いた日は、点数だけを見て終わりにしません。取れた点、落とした点、時間切れの点、勘で当たった点に分けます。合格基準を超えていても、同じ論点の失点が続くなら復習します。

| 結果 | 次にすること |
|---|---|
| 仕訳の左右を間違える | 増減と5分類に戻る |
| 計算が合わない | 転記と合計を分けて確認 |
| 時間が足りない | 迷う問題を飛ばす練習 |
| 点数は高いが不安 | 説明できない問題を解き直す |
復習ノートはきれいにまとめる必要はありません。間違えた問題、原因、次に同じ問題が出たときの一手だけを書きます。翌日と3日後に再度解き、解けたら復習欄へ日付を記録します。
8週目は受験判断と弱点確認をする
最後の週は、新しい教材や論点を急に増やさず、公式の試験条件に合わせて問題を解きます。模試を2〜3回行い、合格基準を安定して超えるか、時間内に入力まで終えられるかを確認します。

- 公式の試験時間・合格基準・出題区分を確認した
- 申込方法、会場、受験日時を保存した
- 模試を時間内に解き、見直しまでできた
- 仕訳の基本と苦手論点を説明できる
- 電卓や本人確認書類など、会場の注意事項を確認した
点数が一度だけ高く、別の日に大きく下がるなら、受験を急がず予備週を使います。2か月で受けること自体が目的ではありません。仕事や体調を崩さず、次に何を直すか分かる状態で受験日を決めます。
勉強が続かないときの戻し方
忙しい週に計画が崩れたら、遅れを取り戻そうとして新しい範囲を詰め込まないことです。まず前回間違えた仕訳を5問解き、次に20分だけ教材を読み、最後に1問を説明します。再開の手順を固定すると、空白が長くなりにくくなります。
独学で質問が解決しない場合は、教材の解説、公式の試験情報、講座や周囲の学習者など、別の説明を一つだけ追加します。教材を何冊も並行すると用語や解き方が混ざるため、主教材を決めてから補助を使います。
今週は受験方式を確認し、勘定科目の5分類を一枚に書き、仕訳を10問解きます。学習時間、正答数、間違いの原因を記録すれば、2か月後に受験するか、予備週を置くかを自分で判断できます。
簿記3級の勉強方法は、長時間を一度に確保することではなく、1日1時間を仕訳・理解・演習・復習へ分けることです。公式の試験条件を確認し、8週間の計画を毎週見直しながら、解ける範囲を少しずつ増やしていきましょう。
