特殊詐欺とは、電話やSNSなどで相手を信じ込ませ、対面せずに現金や暗号資産などをだまし取る犯罪です。親族や公的機関、金融機関を名乗るなど、身近な人や組織への信頼を悪用する点に特徴があります。
手口を知る目的は、犯人との会話を詳しく再現することではありません。突然の連絡で支払い・送金・個人情報の提供を求められたら、いったん止めて別の方法で確認するという判断を身につけることが大切です。この記事では、警察庁の分類と最近の傾向、家でできる対策、相談先を整理します。

特殊詐欺の主な種類
警察庁の「手口一覧と今日からできる対策」では、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などが紹介されています。融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺などもあり、名前だけで安全かどうかを判断できません。
- オレオレ詐欺:親族や警察官などを装い、事故・捜査・トラブルなどを理由に金銭を求める
- 預貯金詐欺:口座やカードが犯罪に使われたなどと言い、カードや通帳をだまし取る
- 架空料金請求詐欺:未払い料金や利用料があると告げ、支払いを求める
- 還付金詐欺:還付や給付の手続きと称して、ATM操作や送金を促す
- キャッシュカード詐欺盗:カードを確認・交換すると言って持ち去る
同じ人が複数の立場を名乗ったり、電話からSNSやビデオ通話へ移したりすることもあります。手口の名前を当てるより、「急がせる」「秘密にさせる」「個人の口座へ移させる」という危険な流れに気づくことを優先します。

最近とくに注意したいニセ警察詐欺
警察庁の令和7年確定値では、特殊詐欺の認知件数は27,832件、被害額は約1,423.1億円でした。そのうち、警察官などをかたって捜査名目で現金などをだまし取る「ニセ警察詐欺」は11,014件、被害額1,005.0億円で、総認知件数の39.6%を占めています。統計の対象期間や分類は資料ごとに異なるため、数字は確認日とともに読む必要があります。
典型的には、電話や自動音声をきっかけに、警察官や検察官を名乗る相手へつながり、口座・資産・逮捕などの言葉で不安をあおられます。その後、SNSやビデオ通話へ誘導され、画面越しに身分証や逮捕状らしき画像を見せられるケースもあります。警察官を名乗っていても、相手が伝えた番号やリンクだけで確認しないでください。
警察庁は、性的な行為を要求する、金地金を提出させるなどの特異な事案も注意喚起しています。金銭だけでなく、画像や動画、本人確認書類を要求された場合も、一人で対応せず、通信を止めて相談します。

電話以外で起きる特殊詐欺にも注意する
特殊詐欺は固定電話だけの問題ではありません。SMSの未払い通知、SNSの投資話、知らない相手からの交際や副業の誘い、インターネット上の広告などが入口になることもあります。警察庁の統計では、令和7年のSNS型投資・ロマンス詐欺も別に集計されており、特殊詐欺とあわせて全体像を確認する必要があります。
「少額を入金すれば出金できる」「本人確認のために暗号資産を送る」「有名人の紹介だから安全」といった説明でも、急いで支払わないことが重要です。画面の利益表示や相手のプロフィールは、正当性の証拠になりません。サービスの公式サイトを自分で検索し、相手から届いたURLや連絡先は使わずに確認します。

危険な連絡に共通する5つのサイン
- 「今すぐ」「今日中」など、考える時間を与えない
- 家族や第三者、金融機関に相談しないよう求める
- ATM、送金、電子マネー、暗号資産など特定の支払い方法を指定する
- 暗証番号、ワンタイムパスワード、本人確認書類、画面共有を求める
- 折り返し先として、相手が伝えた電話番号やリンクだけを使わせる
一つでも当てはまれば、相手の説明が本当かどうかをその場で判断しようとしません。電話を切る、返信しない、リンクを開かない、送金しないという中断を先に行います。すでに応じてしまっても、恥ずかしがらず早めに相談してください。
迷惑電話や不審なメッセージを受けた日時を簡単に記録しておくと、同じ相手からの再連絡や別の経路からの接触に気づきやすくなります。ただし、記録を作るために相手と会話を続ける必要はありません。画面を保存して連絡を止めることを優先します。

一人暮らしでできる電話対策
固定電話は、在宅中でも留守番電話に設定し、相手の名前と用件を確認してから折り返します。番号表示や迷惑電話防止機能が使える場合は、取扱説明書や通信会社の案内を確認します。スマートフォンでは、知らない番号からの着信を知らせる機能や、迷惑メッセージの報告機能を利用できます。
家族や友人、管理会社など、普段から相談できる人を一人決めておくことも有効です。連絡先を端末だけに保存せず、紙にも控えておくと、端末を操作できない状況でも確認できます。金融機関や警察の公式番号は、自分で検索した公式サイトや書類から確認します。

不安を感じたときの相談先
緊急性がある、犯人が近くにいる、今まさに被害に遭っている場合は110番です。緊急ではないが警察へ相談したい場合は警察相談専用電話#9110、契約や請求など消費生活の相談は消費者ホットライン188を利用します。カードや口座情報を伝えた場合は、金融機関にもすぐ連絡し、利用停止や再発行の案内を受けます。
相談時は、相手の電話番号、表示名、連絡日時、言われた内容、送金や入力をしたか、画面やメッセージの記録を整理します。証拠を消さず、相手に再連絡して解決しようとしないことが大切です。相談先によって必要な情報が異なるため、分かる範囲でそのまま伝えてください。
家族や友人に相談する場合も、「自分で何とかしなければ」と抱え込まず、事実だけを共有します。相談相手が不在でも、#9110や188など公的な窓口があります。被害の有無がはっきりしない段階で相談しても構いません。

記事の要点を家のルールにする
- 突然の連絡で支払い・送金・秘密を求められたら、いったん中断する
- 相手が伝えた番号やリンクではなく、公式情報から確認する
- 警察官や家族を名乗っていても、別の連絡手段で確かめる
- カード・口座・暗証番号・認証コードを他人に渡さない
- 迷ったら#9110、188、金融機関などへ早めに相談する
警察庁の手口分類や統計は更新されるため、この記事の数字や名称は確認時点の情報です。特定の手口に当てはまるか迷う場合でも、危険なサインがあれば行動を止め、最新の公式案内を確認してください。知識を競うより、急がず、切り、相談する仕組みを生活に置くことが被害防止につながります。

まとめ:手口を当てるより、急がず確認する
特殊詐欺には、親族や警察官を装うもの、未払い・還付を理由にするもの、カードや暗証番号を狙うもの、SNSから始まるものなどがあります。最近はニセ警察詐欺の被害が目立つため、身分を名乗られても相手の指示だけで判断しないことが重要です。
電話を切る、送金しない、公式窓口から確認する、早めに相談する。この4つを覚えておけば、手口の名前を知らない連絡にも対応しやすくなります。
