とんかつを、半分残した。
お腹がいっぱいだったからではない。ここから、この料理の後半が始まる。
卓上のとんかつは、大ぶりのキャベツと醤油だれをまとっていた。このまま最後まで食べても、たぶん十分においしい。でも、店員さんを呼び、お茶が来るのを待つ。
とんかつを途中で止めて、お茶を待つ。初めてなら少し落ち着かない。
けれど、その数分前まで私は、新宿の街を見下ろす窓向きの席で、「一人のために作られた席みたいだ」と勝手にうれしくなっていた。
「新宿ひとりごはん業界に激震が走った」
残っている訪問記は、ずいぶん大げさな一文から始まっている。
新宿ひとりごはん業界に激震が走りました。
名物のとんかつ茶づけで知られる新宿すずやが、同じビルの2階から5階へ移り、リニューアルした。その知らせを受け、「ひとりごはん推進委員会として黙って見過ごせない」と店へ向かった。
もちろん、そんな委員会が世の中に正式にあるわけではない。けれど、一人で入りやすい店が増えたかどうかは、当時の編集部にとってそれくらい大きなニュースだった。
エレベーターで5階へ上がる。扉が開くと、以前より明るく感じる店内が広がっていた。
そして目に入ったのが、新宿の街に向いたカウンター席だった。

一人で座ると、窓の外が話し相手になる
旧訪問記では、大きなガラス窓へ向かう席に座っている。
テーブルの向かいに誰もいない、という空白がない。正面にあるのは新宿の街だ。ビルや看板、人の流れを眺めていれば、注文を待つ時間も手持ち無沙汰になりにくい。
当日は女性客も複数見かけた、と記録されている。ただし、これはその日の個人的な観察で、いつ訪れても同じ客層や席になるという意味ではない。
メニューを開く前から、頼むものは決まっていた。
とんかつ茶づけ。空腹だったので、大サイズの定番醤油味を選んだ。
一皿なのに、食事が二度始まる
5分ほどして、とんかつ茶づけが届いた。
まずは、とんかつをそのまま食べる。
醤油だれのかかったとんかつと、たっぷりのキャベツ。これだけで十分に食事が成立している。お茶づけにせず、全部そのまま食べてしまいたくなる。
それでも半分ほどで箸を止め、店員さんを呼んだ。

お茶と、追加の醤油だれが運ばれてくる。その前に、ごはんもおかわりした。
新しいごはんへ、とんかつとキャベツをのせる。そこへお茶をかける。衣のさくさくした輪郭は少しほどけ、醤油だれがごはんの間へ落ちていく。

揚げ物は熱いうちに食べたい一方、ひとりでは会話の間がありません。お茶を待つ時間も含めて、急がずに箸を置ける店かを見ました。

一皿目の続きなのに、もう一度、食事が始まったようだった。
大サイズを頼んでよかったと思ったのは、お茶をかけた瞬間だ。まだ、とんかつを惜しまずのせられる。
さらさら食べたあと、Suicaで帰った
揚げ物の後半なのに、お茶づけにすると箸が進んだ。
満腹感はある。それでも、熱いお茶とキャベツが入ると、さらさら食べられるように感じる。当時の本文には、「美味しいものをおもいっきり食べると幸せ」とある。
会計はSuicaで済ませ、満足して店を出た。

入店前に大きな挑戦があった夜ではない。誰かに断られたわけでも、勇気を振り絞って高級店の扉を開けたわけでもない。
一人でエレベーターに乗り、窓の外を見て、とんかつを二通りで食べた。ただそれだけの夕食が、いつもの新宿に一つ、自分の席を増やしてくれた。
現在も新宿本店で、とんかつ茶づけを案内している
新宿駅東口から、5階まで迷わない
2026年9月7日に公式情報を確認すると、新宿本店は旧訪問記と同じ東京都新宿区歌舞伎町1-23-15 SUZUYAビル5階に掲載されています。
営業時間は11時〜23時、ラストオーダー22時30分、定休日は無休、席数は48席。JR新宿駅東口から徒歩3分、西武新宿駅から徒歩1分と案内されています。
公式メニューにも、名物「とんかつ茶づけ」は掲載中です。お醤油味のとんかつに炒めキャベツを合わせ、食事の締めに茶づけで食べる料理と説明されています。
初めて行く前に、確認しておきたいこと
注文前に、席と食べ方を決める
- サイズ・味・価格:公式サイトは一部メニューの紹介で、現在の全サイズや価格を掲載していません。新宿本店の公式案内から電話番号を確認し、必要なら店へ聞きます。
- 席:旧訪問記では窓向きのカウンター席を利用しましたが、現在の席種や当日の案内を保証する記録ではありません。
- おかわり:新宿本店の公式ページでは、すべての定食・ランチについて、ご飯、みそ汁、キャベツ、漬物がおかわりできると案内されています。対象や提供方法は当日確認します。
- 食べ方:旧訪問では途中で店員さんからお茶を受け取りました。現在の案内方法が分からなければ、注文時に聞いておくと途中で迷いません。
公式サイトだけでは金額を確定できないので、出発前に「定食だけなら2,500円以内、飲み物や追加を楽しむなら3,500円以内」と自分の予算枠を作っておくと迷いません。これは現行価格の断定ではなく、注文時に上限を越えそうならサイズや追加を見直すための基準です。
公式トップページは「お一人での手軽なお食事」から家族・グループまで利用できる店として案内しています。予約サービスを無理に挟む店ではなく、場所・営業時間・食べたい量を確認して直接向かう導線が自然です。
一人ごはんに必要なのは、いつも大きな勇気ではありません。後半の食べ方を知っておく。それだけで、一皿を落ち着いて楽しめる夜もあります。
混雑する時間を外すなら
窓向きの席や店内の静けさを優先するなら、昼のピークを少し外した時間が選びやすい。開店直後は料理を待つ時間が短く、14時台なら昼食と夕食の間で落ち着く可能性があります。曜日や季節で変わるため、到着前に公式案内の営業時間を確認し、満席なら無理に待たず別の食事へ切り替える余白も残します。
夜に訪れる場合は、食後に映画や買い物を詰め込みすぎないこと。とんかつ茶づけは二段階で味わう料理なので、急いで食べるより、会計後に駅まで歩く時間まで含めて予定を組む方が満足しやすいです。
一人で困ったときの短い聞き方
店員さんを呼ぶのが苦手なら、「お茶づけにするタイミングを教えてください」「この席でゆっくり食べても大丈夫ですか」と一言で聞けば十分です。注文量に迷ったときは、最初から大盛りを決めず、通常サイズと追加の可否を確認する方法もあります。ひとり客だから特別な作法があるわけではなく、分からないことを先に聞くほど食事の途中で落ち着けます。
帰り道までを自分の予定にする
新宿駅東口へ戻るなら、食後すぐに人混みへ飛び込まず、ビルの出口で水分を取り、スマートフォンの地図を開いてから歩き始めます。揚げ物の満腹感が強ければ、一駅分歩く、カフェで休む、タクシーを使うという選択肢を最初から用意しておく。食事そのものだけでなく、店を出た後の疲れ方まで見積もっておくと、一人の夜が「食べて終わり」になりません。
もし初回の一人外食で緊張するなら、まずは平日の短い昼食として訪れるのもよい方法です。店内の様子を見て、次は夕方にゆっくり味わう。最初から完璧な過ごし方を目指さず、自分が落ち着ける時間帯と量を一度試しておくと、次回から注文も帰り道もずっと楽になります。
初めてなら、店に着く前に決めておくこと
新宿本店へ向かう日は、駅の出口を出てからビルまでの道を地図で確認しておくと安心です。歌舞伎町の人通りに慣れていない場合は、明るい大通りを選び、食後に休めるカフェや駅のベンチも候補に入れておきます。店内で席を選べない日もあるため、窓向きの席を希望するなら入店時に短く伝え、難しければ料理を楽しむことを優先します。
とんかつ茶づけは、最初に揚げ物として味わい、後半にお茶づけへ切り替える料理です。食べる速度を急がず、店員さんを呼ぶタイミングを自分で決められるよう、予定には30分ほど余白を残します。食後に映画や買い物を入れる場合も、満腹で歩きにくくなる可能性を考え、開始時刻を詰めすぎない方が落ち着きます。
一人席で困ったときの選択肢
- 席が落ち着かなければ、料理を一品に絞って短時間で切り上げる
- お茶づけの方法やおかわりは、注文時に一言だけ確認する
- 会計後に駅まで歩くか、カフェで休むかをその日の体調で選ぶ
一人で食べる日は、量も滞在時間も自分で調整できます。名物をきちんと味わいながら、帰り道まで無理のない予定にしておくと、次回も同じ店へ向かいやすくなります。
食後の時間まで、ひとりごはんを快適にする
店を出たあとも余韻を楽しめるよう、荷物を小さくまとめ、スマートフォンの充電や写真の整理ができる準備をしておくと安心です。外食用の小物は、席の広さや帰り道の使い方を想像しながら、必要なものだけ選んでください。
新宿すずやの一人利用と空席を確認する
一人で頼む量と予算を整理してから、来店日の空席、席種、プラン条件を確認します。営業時間、料金、予約条件は予約時点の表示をご確認ください。
※営業日・席・料金・予約条件は予約時点の表示をご確認ください。
