あえて生命保険に入る必要はないです
そもそも生命保険は残された家族の生活を保障するために必要な保険です。おひとりさまの場合は自身の葬儀費用に300万円程度必要ということで入っている方もいることでしょう。しかし、その程度の保障金額であれば個人年金に付属していますし、住宅ローンを組んだ場合は団体生命保険に強制加入となりますので、あえて生命保険(死亡保障)に入る必要性はほとんどないのです。
新入社員の時によく考えず生命保険に加入したという方も多いことでしょう。貯蓄性のある終身タイプの生命保険の場合は途中解約すると損失が発生してしまうので、払い済み後に即解約を考えるとよいでしょう。掛け捨てタイプの場合はすぐに個人年金への切り替えを検討してください。
おひとりさまに必要なのは亡くなった後の葬儀費用よりも老後の確実な資金なのです。個人年金は払込期間中に本人が死亡した場合、払込保険料相当額の死亡給付金が保障内容として付いてきます。例えば30歳で月額1万円の個人年金に加入した場合、300〜400万円の死亡給付金が支払われるのが一般的です。つまり、個人年金の死亡給付金だけで自身の葬儀費用は賄えてしまうのです。
個人年金で生命保険の役割も担えるわけですから、あえて生命保険に入る必要はありません。高額で不必要な生命保険よりもまずは老後の備えを優先させましょう。
個人年金は払込期間中は生命保険の役割を果たせますし、払い込みが終われば年金として受給することが可能です。また、年末調整での保険料控除にも対応していますので、投資商品としても抜群の利回りを誇っています。個人年金はまさにおひとりさまの救世主と言っても過言ではありません。
では、いくらの個人年金に入ればよいのでしょうか
人それぞれ老後に必要な資金の額は変わってくるので一概には言えないですが、老後の備えはあるに越したことはないです。実際のところ年金はいくらもらえるの?でも取り上げたように、実際貰える年金の額は思ったよりも少ないのが実情です。少しでも余裕のある現役時代に1万円でも2万円でも積み上げておくことが、将来の余裕への第一歩になります。
最初は1万円からの加入で問題ありませんので、昇給などで余裕が出たタイミングでまた1口加入するという具合に、少しずつ自分年金の額を積み上げていきましょう。少なくとも終身タイプで3万円程度の年金には加入したいところです。
老後の備えはいくらあっても困ることがありませんので、余裕のある範囲でできるだけ多くの個人年金に加入することが望ましいです。ただ、現役時代の生活に支障をきたしては本末転倒になってしまうので、あくまで余裕の範囲内にとどめておきましょう。余裕の範囲内とは、老後の備えとは別に預貯金を確保できる程度の額が望ましいレベルと言えるでしょう。
個人年金で生命保険料控除も満たせます
年末調整でおなじみの保険料控除ですが、2012年に新制度に改訂され、現在は次の3つの区分があります。
<新制度の保険料控除>
- 一般生命保険料控除(最大4万円)
- 個人年金保険料控除(最大4万円
- 介護医療保険料控除(最大4万円)
上記のように、それぞれのカテゴリで最大4万円までの保険料控除を受けることができます。
個人年金保険の保険料控除を受けるためには「個人年金保険料税制適格特約」という特約を付ける必要がありますが、この特約を付けない場合は一般生命保険として控除を受けることになります。
つまり、月額1万円の個人年金を2口加入しようとした場合、ひとつは「個人年金保険料税制適格特約」を付けて契約し、もうひとつは特約を付けずに契約することで、一般生命保険料控除と個人年金生命保険料控除の2つの枠で最大の控除額を受けることができるわけです。所得税から毎年8万円の控除を受け続けることができますので、知らないと大変な損をすることになってしまいます。
個人年金に加入する際には年末調整のことも頭に入れつつ、保険会社に両方の控除を受けられるようなプランを作ってもらいましょう。年末調整を満額受けることで、個人年金は老後の備えとして最強のツールになり得るわけです。一にも二にも個人年金をおすすめしている理由はまさにここにあります。
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