心が折れまくり|ひとりボーリング
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メンタルを鍛えたい方にはおすすめ
今回はひとりボーリングにチャレンジするわけですが、ひとつだけ気をつけていただきたいことがあります。休日の午後など込み合っている時間帯にひとりボーリングをすると心に深いダメージを残す可能性があります。北斗神拳の伝承者を目指しているなど特別な理由のある方以外は、時間帯には十分気をつけてチャレンジいただければと思います。
ひとりボーリングを実行する場所もそこそこ大事だと考えています。ラウンドワンも候補として考えたのですが、どう考えてもグループが多そうでメンタルの弱い私には耐えられそうになかったので、今回は新宿歌舞伎町にあるコパボウルをチョイスすることにしました。
フロントでの出来事
ビルの4Fに上がるとゲームコーナーがお出迎えしてくれました。まだお昼過ぎということもありそれほど混んでいない感じです。受付の前に申し込み用紙を書くコーナーがありましたので、そこで名前など記入します。意気込みを表すためにプレイヤーの名前はケンシロウとしました。
申込用紙をフロントへ持っていくと男性店員が対応してくれました。
男性店員「おひとりさまでよろしいでしょうか?」
私「はい。お願いします。」
男性店員「今日は何ゲームほどされる予定ですか?」
せっかく来たのに1ゲームは少ないなと思い、2ゲームか3ゲームしようと思っています。と答えようとしたのですが、
男性店員「3ゲーム以上されるのでしたら4ゲームパックがおすすめです。価格的に3ゲームとあまり変わりませんので。」
なんとそんなパックがあるのですね。事前にあまり考えていなかったので、3ゲームも4ゲームも変わらないだろうと4ゲームパックを選ぶことにしました。
私「では4ゲームパックでお願いします。」
男性店員「靴はレンタルされますか?」
私「はい。」
男性店員が一瞬驚きの表情を浮かべます。
男性店員「では6レーンでプレイしてください。あちらで靴のレンタルをお願いします。」
おそらくひとりボーリングに来るのはセミプロクラスのマイボール、マイシューズ持参の人がほとんどなのでしょう。セミプロと思っていた人がシューズ持参でないことに少し驚いたようです。トレーニング目的で来たのなら4ゲームパックを進めてくるのも納得です。
靴のレンタルを終えると、6レーンと書かれたプレートを手に第6レーンを探します。まだ早い時間なので4割程度の埋まり具合でしょうか。ざっとレーンを見回すとひときわ盛り上がっているレーンがありました。女子中学生と思われる8人ほどのグループがキャッキャと楽しそうにボーリングに興じているではありませんか。
第6レーンを探して歩いていると私の顔がどんどん青ざめていくのを感じました。なんとその第6レーンは女子中学生グループの隣のレーンだったのです。
絶望の第6レーン
終わったな。心の中でそう思いました。
絶望の境地で第6レーンにたどり着くと、スコアモニタには「ケンシロウ」の文字が。調子にのってしまった自分を死ぬほど後悔しました。
最初はキャッキャと楽しそうにしていた女子中学生グループも、私がひとりで来たことが分かると徐々にトーンが下がっていきます。そしてスコアモニタにはケンシロウの文字が。冷汗がたらりとほほを伝ったのを感じました。
おそらく女子中学生グループもこう思ったに違いありません。きっとあの人はセミプロクラスの人でトレーニング目的で来ているのね。それ以外に一人で来る理由なんて考えられないし。
私もその気持ちに応えて精いっぱいのスコアを出してあげよう。心の中でそう誓ったのです。指にジャストフィットするボールを注意深く選び、準備は万端です。
「勝負!!」
意を決して放った第1投。周囲が静まり、かたずをのんで私が投げた球の行方を見守ります。
まさかのガータースタートです。
さすがに数年ぶりのボーリングなので力が入りすぎたようです。おかしいなー。周りがシーンと静まりかえったのを感じました。セミプロがまさかのガータースタートですから無理もありません。
このままではますます心がいたたまれなくなってしまう。2投目はスペアを出せるといいな。そう思いながら気合いの2投目を放ちました。
「勝負!!」
無情にもボールはピンの手前でガーターレーンに吸い込まれていきます。
もう帰りたい・・・。心の底からそう思いました。
まさかの2連続ガーターを出し、周囲の視線にも耐えきれなくなってきました。仕方ないので、これはボールが合っていなかったことにしようと思い、首をかしげながらボールの交換へと向かうことにしました。これが人間の防衛本能なのですね。明らかに不自然な行動ですが、そうしないと心が壊れてしまいそうなのです。
まだ心の動揺が収まらないので、一度冷静さを取り戻そうと自動販売機コーナーへと向かいました。レーンから離れてようやくほっと一息です。なんでこんな思いをしてまでボーリングをしているのだろう。そんな思いが頭をよぎります。いや、違う。これはボーリングと見せかけてメンタルのトレーニングをしているんだ。そうに違いない。必死で自分に言い聞かせながらドデカミンストロングを購入です。ここまで来たらもう振り切れるしかない。そう思いながら絶望の第6レーンへと戻りました。
心の切り替えがうまくいったのか、そこからは徐々に調子を取り戻しなんとかスコアを100の大台に乗せることができました。しかし、スコア100なんて初心者レベルもいいところです。
セミプロではないことが判明し、女子中学生グループにも動揺が走っていたちょうどその時、次の事件が起こったのです。
1ゲーム目のスコア
日中ボーリング戦争勃発
ボーリングは通常隣のレーンとボール置き場が共有され、待合席も向かい合わせになっています。女子中学生グループは隣といっても7レーンと8レーンを使っていたので、私の向かいである第5レーンは誰もいなかったわけです。それが唯一の心の救いと言っても過言ではなく、もし第5レーンに女子中学生グループがいたら私の心は早々に崩壊していたことでしょう。
しかし、第1ゲームが終わったちょうどその時、向かいの席にカップルがやってきたのです。なんということだ。あと3ゲームも残っているのに・・・。
ちょっと待てよ。よくよく見るとなんだか様子がおかしいのです。なんとそのカップルは日本人ではなく中国人のカップルだったのです。私は心の中で安堵しました。これがもし高校生カップルとかだったら間違いなく帰っていたことでしょう。
私がスコア画像の撮影に手間取っていると中国人男性がボーリングを開始しました。1ゲーム目が終了し、心身ともに疲れていた私は少し休憩を取っていたのですが、どうも中国人の様子がおかしいのです。スコアモニタには二人分の名前が入力されているのですが、女性は座ったまま動こうとしません。男性は女性の分までガンガン投げています。ちょっと不思議に思いながらも、中国ではそんなものなのかなと思い私もボーリングを再開することにしました。
ここで衝撃の出来事が発生です。私が使っていたボーリングの球が見当たりません。
よくよく見ると中国人男性が私の球でボーリングをしているではありませんか。日本人同士だと間違いなくトラブルになりそうなこの局面ですが、これもメンタルの修行です。ボーリングの球なんていくらでもあるわけですから、なければ持ってくればよいのです。速やかに新しいボールを取りに行くことにしました。
多少の動揺を隠しながら第2ゲームのスタートです。7本のピンを倒し、まずまずのスタートだなと思っているとさらなる衝撃が走りました。ボーリングの球は戻ってくるまでに数十秒のタイムラグがあります。中国人男性はそのタイムラグが待てないらしく、自分のボールではなく、戻ってきた私のボールをガンガン投げているではありませんか。なんということだ。仕方ないのでさらに新しいボールを取りに行くことにしました。
せっかく私が新しいボールを持ってきたのに、何を思ったか中国人男性もボールを取りに行くではありませんか。よほどボール待ちをするのが嫌みたいです。私と中国人男性の二人しかボーリングはしていないのですが、ボール置き場にはボールがたくさん並んでいます。もはや誰がどのボールとか関係ありません。そこにあるボールをただひたすら投げるのみです。一応、穴のサイズとかを気にしてボールを選んでいたのですが、そんなことはもはやどうでもよくなっていました。まさにカオス状態に突入したのです。
中国人男性は投げるスピードは速いのですが、コントロールがいまいちでスペアもあまり取れていない様子でした。傍から見ていると少林サッカーならぬ少林ボーリングの様相です。私は回を重ねるごとにスペア率も上がっていき、スコア的には私の方がやや優勢といったところでしょうか。中国人男性も私のスコアを気にしているようで、私が投げているときはガン見されているのを感じました。私も負けじと中国人男性が投げるときはガン見するように心がけることで、日中ボーリング戦争はますますヒートアップしていくのでした。
そんなこんなで第2ゲーム、第3ゲーム、第4ゲームと日中ボーリングバトルが展開されていきました。さすがに第4ゲームに入ると手が上がらなくなってきます。開始からまだ40分ぐらいしか経っていないので驚くべきハイペースです。さっきまで周りの視線が気になって固まっていたのが嘘のようにはつらつとプレーしています。これも中国人男性のおかげだなと心の中では感謝の気持ちでいっぱいです。
次に出会った時は容赦しないからな。心の中でそうささやきながら激闘の第6レーンをあとにしたのでした。
2ゲーム目のスコア
3ゲーム目のスコア
4ゲーム目のスコア
結論
ひとりボーリングはボーリングどうこうというよりも周りの環境が全てだなと感じました。カップルや学生グループに囲まれたらいたたまれない気持ちでいっぱいになるはずです。
ひとりごはんは一度行くとハードルが下がるので、2回目はわりと抵抗なく行けるものですが、ひとりボーリングは違います。毎回シチュエーションが異なりますので、一度行ったらハードルが下がるということはありません。そこを逆手に取ってメンタルのトレーニングをしようという人にはまさにうってつけの環境といえます。
全く楽しくなかったかというとそういうこともなく、やはりゲームを重ねるごとにスペアやストライクが取れるようになると内心うれしかったりします。今回は幸いなことに途中から中国人のヘルプが入ったので、後半は非常に楽しく過ごすことができました。中国人観光客は増加の一途をたどっていますが、隣が中国人であればひとりで何をしていても全く気になりません。もしかするとおひとりさまの救世主は中国人なのかもしれない。そう思いながら激戦のボーリング場をあとにしたのでした。
積極的にはおすすめできませんが、とにかくメンタルを鍛えたいという方はぜひチャレンジしてみてください。きっと新しい発見があるはずです。