おひとりさまの住まい選び(分譲編)
最近では独身でマンション購入する人も増えています。家賃と同じくらいの支払いなら、「賃貸よりも購入した方がオトクかも…」。そんな考えも頭によぎることがありますよね。
ただ、おひとりさまのマンション購入は、気をつけるべきポイントがたくさん!
注意点や知識として頭に入れておきたいこと、選び方など、徹底的にまとめてみました。
おひとりさまでも購入できる?
おひとりさまがマンション購入を考えたときに「そもそも独身でも購入できるもの?」という不安があるかもしれません。
独身でも購入できる
一人暮らしの人は、賃貸にしても購入にしても「住居費」として月々の支出がかかるのは変わりありません。当然のことですが、賃貸は借りている住まいなので家賃として支払ったお金が戻ってくることはありません。
家賃にもよりますが、年間数十万円の家賃負担。例えば6万円の家賃なら72万円、10万円の家賃なら120万円…。そのほか、ずっと同じ賃貸に暮らしていれば更新料、引っ越しを繰り返せば引っ越すたびに敷金や礼金などの初期費用がかかるでしょう。それが何年も続くと数百万円から千万円ほどの出費が想定されます。
月々何気なく支払いを続けている家賃ですが、総合的に考えると「買った方がよい」と考えることもできますね。
住宅ローンは大丈夫?頭金は?
住宅ローンは、各金融機関からさまざまなタイプが用意されています。購入する物件にもよりますが、どのくらいの予算のマンションを購入するかしっかり考えて組むようにしましょう。
ただ、心配なのは「住宅ローンは独身でも組める?」ということかもしれません。収入の多さ、勤務形態、借金履歴などによってケースバイケースだけど独身でも審査に通るケースも多いです。勤務先がしっかりしている、収入が常に安定している、健康的などの諸条件がクリアできれば、毎月の家賃くらいの支払いで住宅ローンを組むこともできるでしょう。
また、気になるのは「頭金」。マイホーム購入には頭金がいるイメージが強いですよね。頭金がゼロ、あるいはあまりなくても住宅ローンは組める時代になってきています。
今の家賃以上に返済額を設定するとリスクが高い?
頭金がゼロでも住宅ローン組めるかもしれません。しかし、今の家賃以上に高い返済設定をすると、生活が厳しくなってしまいます。
「収入−(住宅ローン+生活費)=ゼロ」とギリギリの生活になると生活自体が苦しくなります。ある程度の貯金ができるような返済額を考える必要があるでしょう。
また、今後の生活を考えると、ある程度の蓄えは必要なもの。マンションを購入するからと、今ある貯金を頭金にすべて回すのは急な出費があるときに生活を苦しめます。
「頭金ゼロ、貯金ゼロ」という状態でマンションを買うのは厳しいかもしれませんね。
マンション購入。賃貸とは何が違う?
賃貸マンションと分譲マンションを比較したときの大きな違いが「分譲マンションは豪華」ということです。収益のため…の賃貸マンションは、基本的に設備もシンプルなもの。一方の分譲マンションは、資産として購入するものなので質が高く、セキュリティが充実しているのが魅力です。新築なら設備も最新式のものが設置されているでしょう。
また、自分の資産になるのでリフォームもできるメリットがあります。
購入後に変化があったらどうするの?
おひとりさまでもマンション購入ができますが、その後に「結婚をした」「実家に戻ることになった」という事情ができたときにはどうすべきでしょう?
選択肢として考えられるパターンを解説していきます。
リフォームして夫婦で一緒に住む
おひとりさまがマンションを購入するときは、「結婚」の可能性も頭に入れつつ、少し余裕のある間取りを検討するといいかもしれません。二人での生活がしやすいように、リフォームすればOKです。ただ、「どうせ一人暮らしだから」とコンパクト過ぎる物件を選ぶと、将来的に結婚したときに狭いかもしれません。
賃貸として貸し出す
住宅ローンを返済している途中で、第三者に貸し出すことは基本的に難しいもの。収入が得られるというメリットもあるのですが、リスク的な面が大きいので注意が必要です。
リスク@ 住宅ローンが借り続けられないかも
まず、注意しておきたいのが住宅ローンのこと。金融機関側が融資するときの条件は、「ローン名義人が居住すること」です。転勤や入院などで一時的に貸し出すときは例外として認めてくれるケースもありますが、金融機関側に無断で貸し出してしまうと「契約に違反している」と捉えられかねません。
極端なケースでは、「残債を一括で返して」と言われることも想定しておくべきでしょう。
借りている金融機関の対応はそれぞれ違うかと思いますが、賃貸用の住宅ローンへの切り替えの変更を検討することになるでしょう。
このように、住宅ローンを支払っている最中に、金融機関へ無断で貸し出すことはやめましょう。
賃貸を考えるときは、初めに連絡のうえ、切り替えが必要なら早めに対処すべきです。
リスクA 貸し出すと「入居人」の立場が強くなる可能性もある
一度賃貸に出すと、借主がいる場合には「売りたい」となったときに退去させにくいことも頭に入れておかなければなりません。借地借家法に基づき、賃貸借契約が結ばれますが、基本的には「借りている人の生活を守る」内容になっています。貸主の都合で突然出て行ってというのは、「借主にとっては酷」という考え方なのです。
そのため、売りたいタイミングでも、入居人が「出ていきたくない」と言えば、強制的に退去させるのは難しいです。
リスクB 経費がかかる、所得の確定申告をしなければならない
賃貸経営として収入を得た分は、税金や管理費を差し引いて確定申告をする義務があります。入居者がいなくなれば新しい借主を募るための広告を出したり、傷んだところを直したりしなければなりません。
ローンを支払いながら賃貸に出しているときにリスクとして覚悟しておかなければならないのが、「空室」のリスクです。入居人がいれば家賃収入をローンの支払いに回せばいいですが、空室期間があると「その間の支払いはどうする?」という心配も出てくるでしょう。
リスクC 売却するときに価格が下がる…!?
結婚して引っ越す時点で売却するときには、一般的な居住用マンションとして売り出すことができます。しかし、いったん誰かに貸し出し、自分が戻ることない状態で売却するときには、賃貸用の収益物件として見られます。収益物件というのは、基本的に「家賃収入」という収益をもとに売却額の査定がされるもの。普通の居住用の物件よりも低めに査定されてしまいます。そのため、思っている価格で売れない結果に…。「賃貸に出さずに売ってしまえば良かった」と後悔する可能性もあるでしょう。
管理の手間、思うように収入に結びつかない、入居者が近隣住民と問題を起こして大変など、思いがけないリスクが多いかもしれません。
売却する
「夫婦で住むには狭い」「賃貸も難しそう」ならば、売却するのが現実的な選択肢になるかもしれません。
ただ売却するには完済が条件なので、ローン残債以上で売れるような資産価値の高い物件を購入時点で考えておいた方が良さそうですね。
次の項で詳しく考えてみたいと思います。
売却のしやすさも考えて購入するのがポイント
マンションを購入する時点では結婚の予定がなくても、今後どうなるかはまったく予想がつきません。ひとむかし前は「一生独身のつもりだからマイホームを買おう」という人も多かったかもしれませんが、今や「購入しても結婚の可能性はアリ」が一般的になってきています。
また、結婚によって売却するケースも少なくないので、購入時点では「売却するかもしれない」も考えつつ選ぶといいですね。
人気のエリアのマンションを買おう
駅に近くて交通アクセスが良い、商業施設や娯楽施設が多くて賑わっているというようなエリアを中心に物件選びをしましょう。常に人気になっている都心部にあれば、売却時も「売りやすい」物件。資産価値としても申し分なさそうです。
都心部は資産価値としても高い
都心部はどんな購買層にも人気が高いです。やはり「利便性がある」という点で、いつも需要があるエリアと言えるでしょう。また、そのなかでもランドマーク性があるマンションだと、特に注目されているので、将来的にも売りやすいかと思います。
中古を買うなら築浅がいい?
当然ですが、マンションを買うときの選択肢は、新築と中古の二択です。
設備や建物が真新しい新築は住み心地が良さそうですが、中古でも立地が良ければ資産価値を考えたときにはじゅうぶん魅力的です。ただ、注目したいのが築年数。
売却するなら、大規模修繕に入る築12年頃を超えずに売るのが理想的かもしれません。新築後、10年くらい経過すると建物の外観が傷み始めるので、だいたい12年前後が修繕のタイミングと言われています。入居戸数や管理組合の修繕積立金にもよりますが、一時的に徴収されるケースも。そのため、それに近いタイミングで売却に出すと買主も「入居後すぐに負担がありそう…」と売れにくくなる可能性があります。
売却するときは、10年以内なら売りやすいかもしれません。逆算すれば同じ中古でも「築浅」を買っておくのがおすすめです。
人によって築浅の感覚の違いはありますが、築3〜5年以内のマンションを購入すれば、将来的に結婚になっても築10年くらいで「まだ新しい」と感じてもらい、目に留まりやすくなるでしょう。
まとめ
賃貸への支払いと同じくらいの住宅ローンが組めるなら、おひとりさまでもマンション購入はオトクかもしれませんね。「購入後に結婚したらどうなるの?」「売却すればいいの?」と購入には不安はあるかもしれませんが、事前知識として注意点を覚えておくことで対処ができます。
また、将来的に「売却するかも」も頭に入れておき、資産価値の高い住まい選びをするのも大切です。今の住み心地を考えるのももちろん大切ですが「将来プラン」もある程度想定して上手な住まい選びをしていきましょう。