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個人年金はいくら必要ですか?

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平均寿命が延び続ける中、老後の生活に不安を感じている人は多くいます。
老後の公的年金の受給額だけでは生活費が足りないかもと心配し、どう備えたらいいのだろうと悩んでいませんか。
その手段の一つとして個人年金が気になる人もいるでしょう。
利用する場合に、どのくらいの保険料が必要なのか、メリットやデメリットなど、個人年金の気になる問題についてご紹介します。

 

老後の備えのために気になる個人年金

 

おひとりさまの老後生活費

 

私たちの老後の生活には公的年金が役立ちますが、ねんきん定期便に記載されている数字を見て心細い思いを持つ人は少なくありません。
公的年金受給額だけで老後の生活費をすべてカバーできるとは限らないためです。

 

2017年の統計(総務省家計調査報告)によると、高齢単身無職世帯の家計収入は114,027円。一方、消費支出は142,198円となっており、数万円足りていない現状が明らかとなっています。

 

出典:総務省家計調査報告

 

個人年金とは

 

個人年金とは、老後の備えの手段の一つとして利用される私的年金のこと。
名前に年金と入っていることから公的年金とイメージが重なってしまっている人がいますが、個人年金とは個人年金保険のことであり、民間の生命保険会社が販売する商品の一つなのです。

 

個人年金保険を受け取り期間別で分けると、次の3種類になります。

 

(1)有期年金:10年や15年などの一定期間、被保険者の生存を条件に年金が支払われる。被保険者が死亡すると打ち切り。
(2)確定年金:10年や15年などの一定期間、被保険者の生死に関係なく年金が支払われる。
(3)終身年金:被保険者が生存している間、年金が支払われる。保険料が高め。

 

有期年金や確定年金は、70歳から10年間、75歳から10年間という形で年金を受け取れ、期間が満了したらおしまいとなる仕組みです。有期年金や終身年金では被保険者の生存が年金を受け取るための条件となっていますが、一定の保証期間がついた商品もあります。

 

個人年金の保険料はどのくらい?

 

個人年金の保険料は、将来どのくらいの年金をもらいたいかによって決めていきます。
また、10年確定年金や10年保証期間付終身年金などの種類によって受給期間に大きな差があるため、それぞれの保険料は大きく変わります。
保険料を払い込む期間が長ければ長いほど、月々の保険料負担やトータルで払う保険料が軽くなる仕組みとなっています。

 

一例として、月25,000円をもらうプランの場合で保険料の違いのイメージを見てみましょう(生命保険会社の商品によって具体的な金額は異なります)。

 

月々の保険料(37歳から65歳満了まで払込、65歳から年金支払開始)
・10年確定年金:約8,910円/月(払込保険料総額:2,993,760円)
・終身年金:約25,000円/月(払込保険料総額:8,400,000円)

 

月々の保険料(27歳から65歳満了まで払込、65歳から年金支払開始)
・10年確定年金:約6,400円/月(払込保険料総額:2,918,400円)
・終身年金:約17,000円/月(払込保険料総額:7,752,000円)

 

10年確定年金の場合にもらえる総額は3,000,000円。終身の場合は、84歳まで生きたとして6,000,000円、94歳まで生きたとして9,000,000万円、104歳まで生きたとして12,700,000円です。

 

個人年金保険の気になる特徴

 

低金利時代のためプラスとなる金額は少なめ

 

個人年金で10年確定年金を選んだ場合、受け取る年金総額がプラスとなることは決まっています。低金利時代の影響でプラスとなる金額は少なめですが、プラスとなる点が大事な特徴です。

 

終身年金を選んだ場合は、早く亡くなってしまうと受け取る年金総額が払込保険料総額よりも少なくなります。長生きする人をそうでない人が支えると考えるとわかりやすいですね。医療保険などのほかの保険商品と同じような仕組みと考えると納得できるのではないでしょうか。

 

名前に年金とついているために貯蓄的イメージを持たれがちで、個人年金を損得で選ぼうとする人が多いのですが、終身年金において長生きした場合に受け取れる総額が、かなり大きくなる点は大きな魅力です。どんなに長生きした場合においても決まった額の個人年金分をライフプランに組み込めるというメリットは大きな安心感につながります。

 

平均寿命を知った上で検討したい

 

個人年金を終身にするかどうかを考える判断材料として、日本人の平均寿命についても知っておきましょう。長寿の家系である、あるいは健康に自信があるなどといった理由が特にない人の場合、平均的な寿命を目安にする方法が合理的です。

 

2017年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は約81歳、女性の平均寿命は約87歳となっています。
75歳まで生きる人は男性の約75%、女性の88%にも上ります。90歳まで生きる人は男性の約26%、女性の約50%です。男性の約1/4、女性の約半分の人が90歳まで長生きするわけですから、90歳まで生きる可能性について考えておくことはもはや必須と言えます。

 

個人年金のその他のメリット、デメリット

 

個人年金保険料控除による所得控除

 

個人年金の保険料については生命保険料控除とは別枠の個人年金保険料控除を使えるため、所得控除面のメリットを得られます。
ただし、控除額に制限はあります。

 

【年間支払保険料:控除額】
20,000円以下:全額
20,000円超40,000円以下:支払保険料×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下:支払保険料×1/4+20,000円
80,000円超:一律40,000円

 

上記控除により、どのぐらい節税できるかは、所得税の税率によります。収入によって所得税率は変わります。

 

【所得金額:所得税率:節税額】
所得300万円:10%:2,000円〜4,000円
所得400万円、500万円、600万円:20%:4,000円〜8,000円

 

1年単位で見ると少ないと感じられるかもしれませんが、払込期間の年数分のメリットを得られます。10年、20年単位で考えましょう。

 

もらえるお金が少なくなる場合や途中解約リスクについて

 

個人年金は、年金として受け取る以外に一括でも受け取ることができます。しかし、一括で受け取る場合の受取額は年金で受け取る場合に比べて少なくなります。

 

また、生存しているか否かが年金をもらう条件となっている商品の場合、早くに亡くなることで元本割れする場合もあります。

 

運用をするタイプの個人年金は、運用がうまくいって得する可能性がある分、運用がうまくいかなかったときに損をするリスクがあります。

 

個人年金は保険商品のため途中解約が可能ですが、途中解約をしてしまうと元本割れをしてしまいます。途中契約を避けるために、保険契約をする前にしっかり検討しておく必要があるのです。毎月の保険料に無理がないか、老後に備えるほかの方法が気にならないかなど、十分に考えてから契約すると途中解約リスクを減らせます。

 

イデコ(iDeCo)との違い

 

破綻時のリスクが異なる

 

個人年金を検討している人で、イデコと迷う人は多く見られます。

 

イデコ:実施主体は国民年金基金連合会。自己の責任で運用商品を選ぶスタイルであり、運営管理機関で加入する。運営管理機関となっている金融機関で加入するが、金融機関が破綻しても運用資産に影響はない。中途解約不可。
個人年金:生命保険会社が販売する商品。生命保険会社破綻の場合にもらえる年金が減るなどのリスクはある。中途解約可能。
*イデコと個人年金の両方に加入することは可

 

個人年金保険は誰でも加入できるのに対し、イデコには対象外となる人がいます。

 

イデコ:企業型年金を導入していてイデコへの加入を認めていない会社に勤めている場合は加入できない
個人年金保険:誰でも加入できる

 

所得控除メリットについて

 

個人年金保険料控除と同じような所得控除メリットが、イデコにもあります。しかもイデコのほうが控除金額面で有利です。

 

イデコ:全額が所得控除される。
個人年金:所得控除される金額に上限がある。

 

ただしイデコには拠出できる掛金に上限があります。また、年間支払保険料が2万円以下であれば、個人年金保険と控除条件は同じです。所得税を払っていない人の場合、所得控除メリットは関係ありません。

 

さらに、イデコと個人年金保険は受け取るときの税金負担面でも違いがあります。

 

イデコ
一時金として受け取るとき:退職所得控除を受けられる
年金として受け取るとき:公的年金控除を受けられる
個人年金保険
一時金として受け取るとき:一時所得の扱いとなる
年金として受け取るとき:雑所得の扱いで控除はなし(ただし支払った保険料との差額にのみ所得税がかかる)

 

リスクを伴ったお得感をとるか安心感をとるか

 

変額個人年金保険と外貨建て個人年金保険

 

個人年金保険に投資的要素を求め、少しでも多く年金をもらいたいと思っている人は、変額個人年金保険と外貨建て個人年金保険が気になるのではないでしょうか。
どちらも、もらえる年金が増える可能性がある分、リスクを伴う商品です。

 

(1)変額個人年金保険
資産運用や保険契約関係の費用で毎年2〜3%の手数料がかかり、運用がそれ以上の利益を出せなければ減っていってしまう
(2)外貨建て個人年金保険
ドルやユーロなどの外国通貨で年金資産を運用するため利率が高いメリットがあるものの、為替リスクを伴う

 

変額個人年金保険の場合は個人年金保険料控除の対象ではなく、生命保険料控除の対象となる点にも注意が必要です。

 

終身の個人年金保険の具体例

 

選び方はそれぞれですが、個人年金の確定年金は主に確実にプラスとなるメリットを期待して老後に備えたい人におすすめです。中途解約すると損をするため、普通預金よりも継続してためるための意志を保ちやすくなります。
個人年金の終身保険は、長生きしたときの安心感というメリットを求める人におすすめです。保険料が高めとなるため、毎月の保険料負担に問題のない人に向いています。
個人年金保険の契約で何を得たいのかは人それぞれ。希望に合わせて商品を選んでみてください。

 

終身の個人年金保険商品は、下記のような生命保険会社が扱っています。例としていくつかご紹介します。

 

(1)日本生命:ニッセイみらいのカタチ年金保険:10年保証期間付終身年金
(2)ソニー生命:5年ごと利差配当付個人年金保険:10年保証期間付終身年金
(3)三井住友海上あいおい生命:&LIFE個人年金保険:10年保証期間付終身年金(5年ごと利差配当付個人年金保険)
(4)第一生命:ながいき物語:10年保証期間付終身年金
(5)マニュライフ:こだわり個人年金(外貨建):10年保証期間付終身年金

 

ライター
琴子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP。
生活に役立つお金の話をわかりやすく伝えるをモットーに活動中です。

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