おひとりさまの株式投資入門〜NISAで株式投資を始めよう〜
はじめに
皆さんのなかには、何億も稼ぐデイトレーダーがメディアに露出するのを見て、淡い期待から株式投資を始めようと検討されている人がいらっしゃると思います。
その一方で、株式投資というとギャンブルのような、リスクが高く危険なものといった漠然としたイメージが強く、株式投資に興味はあるものの二の足を踏んでいる人もいることでしょう。
そこで今回は、株式投資にチャレンジすることを検討している人に向けて、株式投資の基礎知識から、リスクを抑えて少額から株式投資ができる、そんなおすすめの金融商品もご紹介します。
株式投資とは??
まずは株式投資とはどういったもので、どのように投資の利益を得ることができるのかなど、株式投資の基礎を整理しましょう。
多くの企業が、私たちの生活がより豊かなものに、そして便利な社会になるように、日夜、新製品やサービスの研究・開発を行っています。それには人件費や研究・開発のための材料費など多額の資金が必要になるため、企業への出資を募り、事業を継続的に行っていくための資金集めをします。
そこで株式投資とは、企業が事業を行っていくうえで必要となる資金調達のために発行する株式を、投資家が購入し、そして投資家はその対価として、配当金や株主優待などの権利を得ることができるものです。
投資家が株式投資から得られる利益についてもう少し詳しくみていきましょう。
投資家は株式投資によって3つの利益、すなわち値上がり益、配当金、そして株主優待を得ることを期待できます。
まず1つ目の値上がり益。投資家が購入した株式には、「株価」という株式の価値を表すものがあり、その株価は日々変動します。企業の新商品がヒットして多くの利益をあげることができれば、株価もあがります。一方で、食品偽装のような不祥事を起こしてしまうと、株価は大きく下落することになります。
そして基本的には、買った時より株価が上がったときに売却すれば、投資家はその差額分の利益を得ることができます。これが値上がり益、別の言い方では「キャピタルゲイン」と呼ばれるものを得ることができます。
投資家が得られる利益の2つ目が配当金。こちらは企業が得た利益を株主である投資家に一部還元するものです。「インカムゲイン」とも呼ばれています。
個人投資家のなかには、「配当利回り」に注目して株式投資を行う人もいらっしゃいます。配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標です。たとえば、配当利回りが5%の場合、100万円を
投資していれば、キャピタルゲインとは別に、2万円の利益(インカムゲイン)を得ることができます。
なお配当金は年1、2回支払われることが多いです。
そして投資家が得られる利益の3つ目が株主優待。こちらは、企業が株式を長期保有してくれる投資家に感謝の意味を込めて、自社の製品やサービスを年に1、2度提供するものです。
たとえば自社の食料品の詰め合わせや、数千円分の買い物優待券を送ってくれる企業もあります。指定の期日に株式を保有していると、企業から思考を凝らした品々をもらうことができるため、とてもお得感のあるものだと思われます。
株式投資を始めよう
ここからは株式投資を実際に始めるにあたり、どの企業の株価が値上がりするかを分析する手法や、株式の注文方法について確認していきましょう。
まず値上がりしそうな企業を探す際に、その分析手法は2つあります。
1つ目がファンダメンタルズ分析です。こちらは企業の経営状態を表す指標をもとに、将来の株価を予想するものです。売上高や利益の伸び、負債比率の増加などの財務状況をもとに、企業の業績が好調か、または改善が見込めると判断できた場合に、その企業の株式に投資をすることになります。
なおファンダメンタルズの内容がすぐに株価には反応しないことが多いことから、比較的中長期での投資を行う人にとって使われる分析手法となっています。
もう一つの分析手法がテクニカル分析です。こちらは、過去の株価や出来高などをもとに、将来の株価の値動きを予測するものです。
テクニカル分析にはとても多くの種類があります。簡単な例をあげますと、ある企業の株価が、既に歴史的な底値圏で推移していることから、これからは株価の回復が見込まれると予測し、その企業の株式を購入するといったことです。
こちらは短期の売買から中長期での投資にも利用されている分析手法です。
なお、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方をうまく使い合わせているベテラン投資家もいらっしゃいます。
そして株式の注文方法も2通りあります。
1つ目が成行注文です。こちらは、株式を買うときに、いくらで買うか値段を決めずに注文する方法です。成行の買い注文をした場合、一番安い売り注文をした人と売買が成立することになります。
株式の注文方法の2つ目が指値注文です。こちらは、いくらで株式を買うか、あらかじめ決めたうえで注文する方法です。たとえば、ある企業の株式を1万円で10株買いたいと指定して注文します。そして1万円で10株を売りたい人がいれば、売買が成立します。
成行注文は株式相場を時間をかけて見られる人に、そして指値注文はあらかじめ買う価格を決められるため、日中なかなか株式相場を見られない人にとって有効な注文方法といえるかもしれません。
株式投資の注意点を把握しよう
そして株式投資は、定期預金などと違い元本が保証されていません。そこで大切なのが損切り(ロスカット)です。ここからは、株式投資を続けていくうえで避けては通れないロスカットについて説明します。
誰しも株式投資で利益をあげるためにやっていて、損をするためには行っていません。利益をあげるために損切りするというのは、少々不思議に感じるかもしれませんが、このロスカットをしっかりできるかによって、株式投資で利益をあげていくためにはとても重要なことになります。
ロスカットとは、株式を購入したものの、想定した値動きとならず、一定額の損失が出た時に決済することです。なぜ損失が出ているときに決済するかというと、株価が更に下落して、損失がとても大きくなってしまうリスクをなくすためです。
株式投資で「絶対」はありません。どんな株式投資のプロフェッショナルでも、勝つときもあれば負けるときもあります。株式投資の世界で生き残っている人は、この損失をいかに小さくするかに長けている人たちだといっても過言ではありません。
株式投資で一時利益をあげても、その後大きな損失を出して、株式投資の世界から去った人はたくさんいます。それを避けるためにも、一定額の損失が出たら、一度しっかり損失を確定させて、それ以上損失が拡大しないようにすることが大切です。
なお一定額の損失とは、特段いくらという決まった金額はありません。たとえば、株価が節目となる水準に達したら損切りするといったような、自分なりのルールを決めて取引するように心がけてください。
NISAで株式投資に挑戦しよう!!
そして、これから株式投資を始める人におすすめの金融商品がNISAです。なぜかというと、NISAは株式投資を少額から始められ、しかも税制優遇メリットもついているからです。
ここからはNISAの特徴をお伝えします。
NISAは少額からの投資を後押しする税制優遇制度です。通常ですと、株式に投資した場合、そこから得られる譲渡益や分配金に対して20.315%の税金がかかります。NISAの場合、その税金が非課税となります。これが、NISAの最大のメリットの1つといえるでしょう。
たとえば、株式投資で20,000円の利益がでたとします。通常4,063円の税金がかかり、手元には15,937円しか残りません。そこでNISAを利用すると、20,000円の利益がそのまま手元に残ります。本来税金として支払う分が浮いので、その分を再投資にまわすことで資産を大きく増やしていくこともできるでしょう。
また、その非課税となる期間は、基本的に5年となります。そのため、利益が大きければ大きいほど、NISAの非課税メリットの効果も大きなものとなります。
そしてNISAは、新規投資額が毎年120万円までと上限が決まっているため、無理にリスクをとることもできず、少額からの株式投資を行いたい人におすすめの金融商品といえるでしょう。
NISA口座の開設に関しては、バラエティ豊かな商品ラインナップや充実したサポート体制などから総合的に判断して、ネット証券で口座開設するのがおすすめです。
そしてNISA口座の開設の基本的な流れは以下の通りになります。
@金融機関からNISA口座開設の書類を取り寄せます
まずは金融機関で総合口座を開設することになります。総合口座のなかにNISA口座もあるようなイメージのため、大元の総合口座を最初に開設する必要があります。
なお、その総合口座では「一般口座」と「特定口座」を選択することができます。その際には、「特定口座で源泉徴収あり」を選択すると後々便利でしょう。そうすることによって、金融機関がその年の株式投資の売買損益を計算し、「年間取引報告書」を作成してくれます。そして、源泉徴収ありを選択しておくことにより、金融機関が皆さんに代わって納税をしてくれるため、確定申告を行う必要がないからです。
ANISA口座開設の必要書類を記載後、金融機関に提出します
次に、NISA口座開設の書類とマイナンバーカードもしくは通知カードのコピー、本人確認書類をあわせて金融機関に提出します。
B金融機関が税務署にNISA口座開設の申請を行います
税務署よりNISA口座開設の可否の連絡が金融機関に届いたあと、最終的に金融機関よりNISA口座開設の手続き完了の連絡がきます。
最後となりますが、投資の世界では、よく「習うより慣れろ」といわれます。今回お伝えした株式投資の基礎知識をもとに、ぜひNISAを活用することで株式投資を実践して、投資の一歩を踏み出してください。
《出典》
金融庁 NISA特設ウェブサイト