おひとりさまの投資信託投資入門〜つみたてNISAで始めよう〜
はじめに
皆さんのなかには、銀行に預けていても、なかなか資産が増えていかないため、しっかりと着実に運用する投資信託への投資を検討している人がいらっしゃると思います。もっと具体的に、子供の教育資金や住宅購入資金にあてるため、投資信託へ投資をして資産形成を図ろうと考えている人もいることでしょう。
そうは言っても、投資信託は難しそうという漠然としたイメージがあり、なかなか投資の一歩を踏み出せない人もいるかと思います。そこで今回は、そんな投資信託投資の初心者向けに、投資信託の仕組みやメリット・デメリットなど基礎的なことを中心に分かりやすく解説していきます。
投資信託とは?
そもそも投資信託とはどういった金融商品なのでしょうか。
投資信託とは、たくさんの投資家からお金を集め、まとまった大きな資金として、運用のプロフェッショナルが皆さんに代わり、株式や債券などに投資を行う金融商品のことです。そして運用が上手くいった場合には、投資金額に応じて利益が投資家の皆さんにも分配されます。一方で、運用が上手くいかなかった場合には、皆さんが投じた投資元本が目減りする、つまり損をする仕組みとなっています。
投資信託の世界では、主に販売会社、運用会社、そして信託銀行の3つのプレーヤーが存在します。
まず販売会社とは、投資信託を販売する会社のことです。投資信託として運用するために、まとまったお金を集める役割を担うのが販売会社である証券会社や銀行などの役割となります。
次に運用会社とは、集めた資金で実際に資産運用を担う会社のことです。徹底したリサーチを行うとともに、皆さんのお金を管理する信託銀行へ、株式や債券を売買するように指示をだします。
そして、皆さんから集めた資金を大切に管理する役割を担うのが信託銀行です。そして、運用会社からの指示のもと、実際に株式や債券などの売買も信託銀行となります。
また、投資信託には株式投資信託や公社債投資信託、J-REIT(ジェイリート)などの様々な種類があります。
まず株式投資信託とは、公社債のほか株式にも投資している投資信託です。一方で公社債投資信託とは、株式には一切投資せず、公社債と短期金融商品などで運用を行っている投資信託のことです。
たとえば、株式に10%、公社債に90%投資している投資信託は、公社債に投資する比率が圧倒的に高くても株式投資信託となります。そのため、どの投資信託を選ぶか決める際に、積極的にリスクをとりにいくのなら株式投資信託に投資し、安定的で着実に資産を増やしていこうと考えるなら公社債投資信託に投資されるのが一般的といえるでしょう。
そしてJ-REITとは不動産投資信託のことです。こちらは、多くの投資家から資金を集め、オフィスビルや大型商業施設、大規模高層マンションなど複数の不動産に投資します。そして、そこから得られる家賃収入や売買益を投資家に分配する投資信託です。
REITとは「Real Estate Investment Trust」の略で、もともとアメリカで生まれた投資信託です。これにならい、日本では頭にJapanのJをつけてJ-REITと呼ばれています。そのため、勿論海外の不動産に投資するREITも販売されています。
このように、投資信託はバラエティに富む種類が取り揃えられているため、投資家1人1人のニーズにマッチした商品を選ぶことができるでしょう。
投資信託のメリットを理解しよう
ここからは、投資信託のメリットを4点お伝えします。株式や債券を単体で買うのでは得ることができない、投資信託ならではの特徴があります。なかでも、投資初心者にとって有効なメリットといえるものばかりです。
まずメリットの1つ目は、投資のプロフェッショナルに運用を任せられることです。本業で働きながら、逐一経済情勢や投資環境を確認することは、なかなか難しいでしょう。そこで投資信託の運用を専門家に任せることができれば、それは何とも心強いことだと思います。特に投資初心者にとって、様々な分析から実際の売買タイミングなど分かりずらいことも多いことから、とても大きなメリットの1つといえると思います。
メリットの2つ目が、投資信託は少額からでも投資することができます。株式投資では、企業によって最低購入金額が決まっており、ある程度まとまったお金を必要とする場合、どうしても投資することに二の足を踏んでしまうことがあるかと思います。
その点投資信託は少額から購入することができるため、リスクを抑えて投資信託投資を始めることができます。そのため初めて投資をする人にとっても、投資に対するハードルが低くなっているといえます。投資信託のなかには、貯金するかのように、月々100円からコツコツ投資を行える「投信積立」と呼ばれるものもあります。
そしてメリットの3つ目が、分散投資によりリスクを軽減することができます。投資信託には、株式や債券、不動産、コモディティ商品(原油や天然ガス、金など)を組み込むことができます。そこで、一般的にハイリスク・ハイリターンの株式と、安定的なリターンを得ることを目指す債券、不動産などに分散して投資することにより、リスクを軽減する効果があります。
たとえば、リーマンショックなどの不況のときは国債や金といった安定性の高い商品で運用し、アベノミクスなどのような好況のときには、積極的にリスクをとりにいき、株式を多く組み込むといった投資戦略をとることができます。これにより、一般的に不況のときには株価が下がる傾向にあるため、株式への投資を避け債券などで運用することで、スクを抑えた運用を行うことができます。
メリットの4つ目が、投資信託は国内外の金融商品に幅広く投資することができます。投資信託では成熟した日本国内の株式や債券だけでなく、安定成長を続ける欧米、そして成長著しい東南アジアやアフリカなど世界中の株式や債券などに投資することが可能です。そのため、ある国の経済が低迷していても、その他の成長国でカバーするといったように、全体のリスクを抑えながら成長の果実を享受することができます。
これまで投資信託のよい面をお伝えしてきましたが、次項からは投資信託のデメリットをご紹介します。
投資信託のデメリットを把握しよう
まず、投資信託は株式や債券、不動産などで運用するため、定期預金のような元本保証はありません。一般的に投資の世界では、しっかりとリターンを得たいならリスクをとりにいく必要があります。
そこで@少額から投資ができること、A投資対象資産や対象国などを分散投資するといった投資信託の特徴を活かしましょう。たとえば、毎月のお小遣い程度の金額から投資して、投資対象を分散させることで、リスクを抑えながらしっかりとリターンを狙いにいくことができます。
投資信託のデメリットの2つ目が、投資信託を保有すると「信託報酬」と呼ばれる管理手数料がかかってきてしまうことです。この信託報酬は投資信託を保有している間ずっとかかってくるコストです。そのため、特に長期保有を検討している人にとっては、信託報酬が運用パフォーマーに大きく影響します。投資信託を購入する際は、低信託報酬のものを選び、極力コストを抑えた運用を心掛けましょう。
そして次項からは、投資信託投資を始めるうえで、おすすめの金融商品として、つみたてNISAをご紹介していきます。なぜつみたてNISAかというと、税制優遇メリットがあるため、とてもお得に投資信託投資を行うことができるからです。
つみたてNISAで投資信託投資を始めよう!!
2018年から始まったつみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援する非課税制度です。
つみたてNISA(積立NISA)の最大のメリットは、投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益が非課税になることです。通常ですと、投資信託から得られる利益に対しては20.315%の税金がかかります。そこでつみたてNISAを利用することにより、この税金が非課税となります。
また、つみたてNISA(積立NISA)は、投資できる上限金額が年40万円までと決まっています。そして非課税期間が最長20年であるため、まさに少額から長期で、分散投資のできる投資信託で運用を行っていくことができます。
なお、つみたてNISAでは投資できる金融商品が定められており、長期の積立・分散投資に適した投資信託となっています。そのなかから、つみたてNISAの商品を選ぶ方法として、やはり国内の株式・債券だけでなく世界の成長の利益をとりにいくうえで、海外の株式・債券にも投資している投資信託を選ぶことでリスク分散につなげることができるでしょう。
また、積極的にリスクをとりにいくタイプの投資信託(アクティブ型投資信託)と、リスクを抑え安定的な利益を狙うタイプの投資信託(インデックス型投資信託)があります。
そのため、ご自身のリスク許容度に応じて投資信託を選ぶこともできるでしょう。
そして先ほどお伝えした通り、投資信託には信託報酬というコストがかかってきます。つみたてNISAは長期に亘る資産運用となるため、この信託報酬をいかに低く抑えることが、ご自身の運用成績に直結しますので、投資信託を購入の際は、しっかりと確認するようにしましょう。
もしくは既に長い期間に亘り投資実績を残している優良な投資信託を購入するというのも一つの手です。過去の実績については、それぞれの投資信託の商品紹介ページで確認することができます。そして、運用パフォーマンスのよい投資信託は、得てして投資家から多くの資金を集めています。それを知るには、純資産総額が安定的に増加しているかを確認するとよいでしょう。
さいごに
最後となりますが、これまで投資信託の仕組みやメリット、デメリットなど基礎的なことをお伝えしてきました。そして今回ご紹介した、少額から投資ができる非課税制度であるつみたてNISAを通じて、皆さんもぜひ投資信託投資を始めてみてください。
《出典》
金融庁 NISA特設ウェブサイト
楽天証券 100円から積立可能「投信積立」