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おひとりさまのファンダメンタルズ分析入門

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はじめに

FXトレードをする人のなかには、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析を駆使してトレードを行う人が多いと思います。

 

おそらくその理由は、ファンダメンタルズ分析はすぐに為替相場へ反映されない一方で、テクニカル分析は比較的短期で機能しやすい分析手法であることが大きな要因になっていると思われます。

 

ただし、たとえばリーマンショックやアベノミクスのような大相場では、テクニカル分析はほとんど機能しません。下手に相場の流れに逆らえば、損失を拡大させるだけに終わります。

 

テクニカル分析を主に用いる人でも、ファンダメンタルズ分析をもとに相場の大きな流れを把握しておくことは、FXの世界で勝率を高めるためにも大切なことといえるでしょう。

 

そこで今回は、ファンダメンタルズ分析の基礎的なことに関して、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

 

ファンダメンタルズ分析とは??

まずファンダメンタルズ分析とは、マクロ経済の状態を表す指標をもとに投資判断を行う手法です。各国のGDP成長率やインフレ率、金利動向そして金融政策などが挙げられます。また先ほどお伝えしたリーマンショックやアベノミクス、ブレグジット、トランプ氏の大統領就任などのニュースも、為替相場へ大きな影響を与えます。

 

なおファンダメンタルズとは、「経済の基礎的条件」のことで、マクロ経済活動の状況を示す基礎的な要因のことを指します。そしてファンダメンタルズの内容はすぐに為替相場へ反映しないため、比較的中長期での運用を行う人にとって有効な分析手法といえます。スワップをコツコツ稼ぐ投資戦略を用いる人にとっては、相場が今後どちらの方向へ向かうかを伺い知るうえで、有効となり得る手法でしょう。

 

ちなみに2018年はアメリカで中間選挙が行われるため、今現在もドル円相場に影響を及ぼしています。簡単に説明しますと、中間選挙を11月に控えたトランプ大統領は、国民からの支持を得る必要があります。その一つの手段として、貿易赤字の縮小を行うがためになりふり構わずドル安方向へもっていこうとしています。アメリカは利上げ局面で、日本は超低金利政策を維持していることから、2国間の金利差だけを考えると、ドル高円安になりそうですが、トランプ相場で大きく上昇した2016年の年末から2018年8月21日時点で
6,7円円高になっています。

 

このようにテクニカル分析だけでは推し量れないところを、ファンダメンタルズ分析で補うという使い方ができるかと思います。

 

またファンダメンタルズ分析には、地政学リスクも影響を及ぼします。地政学リスクとは、特定地域の政治的・軍事的・社会的な緊張関係から、その地域のみならず、世界経済全体の先行きを不透明にすることです。たとえば、北朝鮮の核開発問題やテロの脅威などが挙げられます。

 

そして、地域戦争などが起きた時は、従来は「有事のドル買い」として米ドルが買われていましたが、最近は「安全通貨として円買い」がよく起こります。また、各国の金融危機も為替相場に影響を与え、サブプライムローン問題では米ドルが大きく売られる結果となりました。

 

各国の政治・経済の様々なニュースを追っていかなければならず、最初の頃はどこに注目したらよいか迷われるかもしれません。その際は、長年FXの世界で利益を稼ぎ成功している人が、どのようなニュースに注目しているか参考にしましょう。また、各国のGDP成長率や雇用指標、金融政策会合などは毎月実施される時期が決まっています。スケジュールに関しては、FX業者が提供する経済指標カレンダーなどを利用することで、その指標の重要度なども知れますので、ぜひご活用ください。

 

ファンダメンタルズ分析の具体例

それではここから、ファンダメンタルズ分析の具体例を2つ挙げます。

 

イギリスの金融政策は、Bank of England(BOE)がそのかじ取り役となります。日本ではBank of Japan(BOJ)です。そのBOEにて、今後利上げが示唆されたことから、ポンド円が急伸するときがありました。ポンド円は一度トレンドができると、その方向に大きく動く値動きの特性があり、この時も簡単に数円動きました。
ただし、その後行われたBOEのトップ、カーニー氏が近い将来の利上げに後ろ向きなコメントをしたことから、大きく上昇した値幅の倍ほど急落する事態にもなりました。

 

このように、各国の金融政策動向や、各国中銀総裁の一挙手一投足は、これまでの相場の流れを一変させるもの凄いパワーがあります。これらの動向をファンダメンタルズ分析として逐次チェックしておかないと、いざテクニカル分析が機能しないような時に正確な投資判断を行えなくなってしまう可能性がありますので注意してください。

 

なお、BOJの総裁は黒田氏、FRB・米国の中央銀行のトップはパウエル氏、ECBヨーロッパ中央銀行のトップはドラギ氏となります。各国中銀のトップの発言次第で、イエレン氏や黒田氏の場合は主にドル円に、ドラギ氏の場合はユーロドル、カーニー氏はポンドドルなどの値動きに影響があります。最近ではBOJの出口戦略が話題になっており、黒田総裁から何らかの出口戦略に向けた発言があるか投資家に注目されています。仮に黒田総裁が出口戦略を示唆した場合は、大きく円高に振れる可能性があるため、テクニカル分析だけでなく、日々しっかりと金融政策動向を確認していく必要があります。

 

また各国の金融政策を知る上で、各金融会合に出席するメンバーがタカ派もしくはハト派であるかも事前にチェックしておきましょう。タカ派とは、経済状況に対し強気なスタンスをとり、利上げ賛成派のことです。

 

一方でハト派は、経済状況に慎重なスタンスをとるため、利上げ消極派になります。
たとえば、ECB政策委員会のメンバーの1人であるバイトマン・ドイツ連邦銀行総裁は、タカ派として有名で、その発言はまさに強気そのものです。バイトマン氏の発言が主にユーロ相場に影響を与えることが多々ありますので、言動には注意が必要です。なおバイトマン氏は、2019年11月からの次期ECB総裁の有力候補となっていますので、今からその発言に注目が集まっています。

 

そしてもう1つの見方として、もともとハト派といわれるメンバーが、タカ派と取れるような発言をしたときは、経済に対する見方が変更されたと捉え、為替相場も大きく変動することがあります。そのため、FRBやECB、BOEなど各国金融会合のメンバーに選出されている人たちが、それぞれタカ派なのかハト派なのか確認しておくと、FXトレードに役立てることができます。

 

また、金融の分野のトップだけでなく、各国の大統領などの要人発言も、しばしば為替相場に影響を与えます。たとえばアメリカのトランプ大統領は、日々ツイッターで様々なコメントをしています。貿易摩擦のある各国と米ドル相場に影響を与えますので、こちらも注意してチェックしていきましょう。

 

ファンダメンタルズ分析の具体例その2として、各国のGDP成長率やインフレ率、雇用指標などの経済統計は、各国の金融政策を占う上でとても重要となってきます。たとえば、インフレ率が予想よりも早い勢いで高まれば、利上げ期待も浮上し、結果として為替相場に大きな影響を与えることがあります。
このように、ファンダメンタルズ分析は確認しなければならない項目が多岐にわたりますが、相場の大きな流れを把握するためには、毎日コツコツと、これらのニュースをチェックしていく必要があります。

 

ファンダメンタルズ分析の難しさとは

これまで、ファンダメンタルズ分析をもとにしたFXトレードの例をご紹介してきました。してここからは、ファンダメンタルズ分析の難しさについて解説していきます。

 

まずファンダメンタルズ分析は、ニュースの内容をキャッチしたときには、既に相場が大きく動いていることがよくあります。もしくは、買い材料となり得るニュースをキャッチしたものの、なかなか相場が反応しないことがあります。このようなときは、そのニュースは既に相場におり込まれている可能性があるので注意しましょう。
そのため、せっかく色々と調べて情報を集めたものの、実際のFXトレードの収益に直結するとは限りません。シンプルなテクニカル分析によって、うまく利益をあげてしまった場合は、なおさらファンダメンタルズ分析の時間効率の悪さを感じてしまうかもしれません。

 

たとえば、次回のFOMCで利上げをする確率が高まっているとします。そうすると、利上げ期待から事前にドル円が上昇し、実際に利上げが行われたあとは下落する流れとなることがあります。これは「噂で買って事実で売れ」という相場の格言通り、期待で買いが入り、「sell the fact(セル・ザ・ファクト)」、つまり事実で売ることです。一生懸命丹念に調べ上げ、いざ指標の発表の後にトレードするのでは遅いことはよくあることですので注意してください。
なお最後に、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のどちらが優位かについて解説していきます。

 

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析はFX分析の双璧

FXの分析手法にはこれまでお伝えしてきたファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つがあります。ファンダメンタルズ分析は中長期の視点でより大局観をもって相場を見つめ、数か月から若しくは年単位で相場の方向性を読み解く際に利用するのが有効といえます。一方でテクニカル分析は、より短期的に、場合によってはたった今の投資判断を下す際に用いる手法といえるでしょう。

 

そしてFXトレードでどちらの手法を重視するかは、まずトレード手法によって変わってきます。数秒から数分でトレードを何回も繰り返すスキャルピングの場合、ファンダメンタルズ分析よりテクニカル分析の方が有効でしょう。一方で、高金利通貨のスワップ獲得を目的として中長期にわたりポジションを維持する場合、2通貨のファンダメンタルズをしっかり見極める必要があるかと思います。

 

ただし、どちらかだけの分析手法を用いるのは得策とはいえません。ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、まさにFXトレードをする上で双璧となる分析手法です。相場の大きなうねりを見定めるうえでファンダメルズ分析を、売買タイミングや市場の偏りなどを見極めるうえでテクニカル分析を用いることで、分析の精度をより高め、結果としてFXトレードで勝率を高められると思います。

 

《出典》
ヤフーファイナンス
Bloomberg

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