やはり修繕積立金の存在
リノベマンションは修繕積立に注意では修繕積立金の高騰が将来的な重荷になるというお話をしましたが、新築マンションも永住を前提で考えると必ずしも万全ではないのです。例えば35歳で新築マンションを購入した場合の例で考えてみましょう。
35歳で新築マンションを購入した場合
大規模修繕工事は12年ごとに行われ、配管や電気設備など大型の改修工事は30年ごとに行われます。
新築販売時の修繕積立計画は販売時の費用を低く見せるため30年分の費用しか見込まれていません。さらに30年分の修繕費用も実は5年ごとに引き上げなければカバーできないというずさんな設計になっています。30年目以降の大規模修繕費用を捻出するためにはさらなる修繕積立金の上積みが必要となり、多くの場合はそれでも不足するため、大規模修繕工事のたびに一時金を徴収されることになります。
当初の修繕積立計画案では30年目の大型設備改修工事で修繕積立金が枯渇してしまいますので、30年目以降の大規模修繕を見据えて、マンション管理組合では適宜修繕積立金の引き上げを検討することになります。
金額の引き上げ方や引き上げ時期は何年目までの大規模修繕を見込むかによって変わってきますので、一概には言えませんが、36年目の大規模修繕も視野に入れると当初金額の5倍程度に膨らむ例もあるようです。
都内で一般的な70uの3LDKマンションで考えると、当初6〜7千円だった修繕積立金が30年目には3万円を超える金額になる可能性があるということです。
一般的な管理費1万円と合わせると約4万円ということになり、なかなかの金額負担となってきます。
築40年を超えると建て替えの議論も
35歳で新築マンションを購入した場合、36年目の大規模修繕時でも71歳ですので、まだまだ住み続ける必要があります。
その後48年目の大規模修繕工事、60年目の大規模修繕+大規模設備更新と続くわけですが、一時金を徴収せずに修繕積立金の増額だけで対応するとなるとおそらく5万円、6万円という額になっていることでしょう。60年目はダブルの大規模工事が待っていますので、それだけでは足りず一時金の徴収は不可避なものと考えられます。
60年目の大規模工事を迎えるころには95歳となっていますが、今後の平均寿命はますます長寿命化が予想されていますのでまだまだ健在なことでしょう。この年齢になって数百万円の一時金徴収を求められても支払内は困難なものと想定されます。しかし、管理組合で決議されてしまえば支払いを拒否することはできませんので、何らかの方法で資金を工面する必要に迫られることになります。
また築40〜50年を超えてくるとマンションの建て替えを議論する管理組合も出てくることでしょう。容積率が余っているマンションであれば今よりも大型のマンションを建設し、売却した資金で既存居住者の建て替え費用を肩代わりするというウルトラCが使えますので、これまでにも成功した例はあります。しかし、ほとんどのマンションではそのような等価交換方式は使えませんので、なかなか建て替えの議論は進まないようです。ほとんどの世帯がリタイアを迎えている中で、建て替え費用を工面できる世帯など一部の世帯に限られてしまうでしょう。
そのような流れの中で修繕を繰り返しながら騙し騙し住んでいくしかないというのが実情なのです。
個人年金は長生きに備える保険でもお話したように、今後の平均寿命の延びを考えると、少なくとも100歳までのライフプランは必須な状況と考えられます。それなのに多くのファイナンシャルプランナーや雑誌の試算は現在の平均寿命である85歳程度を想定したものとなっています。そもそも平均寿命の考え方が間違っていて、多くの方は平均寿命よりも長生きするという事実を見落としています。こういった観点からも、もう一度マンションライフについて考えてみる必要があるのではないかということなのです。
60歳で新築マンションを買うなら安全圏
仮に60歳で新築マンションを買ったなら、マンションの法定耐用年数は47年ですから、建て替え議論が巻き起こる頃には既に100歳を超えています。このくらいの余裕があればさすがに安全圏と言えるでしょう。
しかし、60歳までひたすら賃貸に暮らしつつ住宅購入資金を貯めるのは至難の業です。むしろ非効率とさえ言えるでしょう。ではどうしたらよいのでしょうか。
ひとつの方法としては、一度マンションを購入したら修繕積立金が値上げされようが、一時金を徴収されようが最後まで住み続けるという選択肢があります。おそらく多くの方が実践されている方法でしょう。ただ本当に60年以上にわたって住み続けることができるのか、高齢になって高額な修繕積立金や一時金を工面できるのかという問題は残されてしまいます。しかし、高齢になって金銭的な余裕がある方はそれほど多くないとも推測されますので、実際問題として大規模修繕などの問題は先送りされ、なんとなく住み続けることができるという可能性も高いように考えられます。
もう一つの方法は、10年ごとにマンションを住み替えるというものです。賃貸でもないのに10年ごとにマンションを住み替えるなんて何を言っているんだと思われるかもしれませんが、都心の利便性の高いマンションであれば十分に可能なのです。
こちらの方法については10年ごとの住み替えもおすすめですで詳しくお話いたします。
お金持ち以外は分譲マンションを買うべきですおひとりさまの住まい問題で最も頭を悩ませるのが家を買った方がいいのか、一生賃貸がいいのかということです。当然その人によっていろいろな条件が異なりますので、一概には言えませんが、一般論で行くと圧倒的に家は買うべきということです。それにはふたつの理由があります。...
≫続きを読む
経済合理性だけで考えてよいのでしょうかよくマンション雑誌で話題に上る「分譲vs賃貸論争」。実際にはどちらが有利なのでしょうか。経済合理性だけではなく、老後の生活にフォーカスして考えるとこれまでとは違った答えが浮かび上がってきそうです。ここではおひとりさまだけではなく、より一般的な世帯も含めて分譲・賃...
≫続きを読む
なるべく資産価値の高いマンションをおひとりさまの住まい探しでポイントとなるのはできるだけ資産価値の高いマンションを選ぶということです。今はおひとりさまかもしれませんが、いつどんなタイミングで結婚するか分かりません。マンションが足かせとなっては元も子もありませんので、できるだけ流動性の高いマンション、...
≫続きを読む
コンパクトマンションとはシングル・DINKS向けのコンパクトマンションが充実してきているのをご存知でしょうか。最近は大手ディベロッパーも都心エリアに多くのコンパクトマンションを供給しています。一般にコンパクトマンションとは40u〜50u台の1LDKもしくは2LDK立地/利便性に優れている大手ディベロ...
≫続きを読む
リノベーションとはリノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、機能や性能を向上させたり付加価値を与えることを言います。同じような言葉に「リフォーム」がありますが、リフォームとは古くなった建物や設備を修復して元の状態に戻すことを言います。その建物を新築の状態に戻すのがリフォームで、新築の状...
≫続きを読む
やはり修繕積立金の存在リノベマンションは修繕積立に注意では修繕積立金の高騰が将来的な重荷になるというお話をしましたが、新築マンションも永住を前提で考えると必ずしも万全ではないのです。例えば35歳で新築マンションを購入した場合の例で考えてみましょう。35歳で新築マンションを購入した場合大規模修繕工事は...
≫続きを読む
築20年で資産価値は下げ止まる一般的にマンションの資産価値は築20年まで下落の一途をたどり、20年目以降は下落が緩やかなものになると言われています。では、築20年のマンションをリノベーションして購入するのであれば経済合理性があるのではないでしょうか。早速検証してみましょう。前提条件35歳で築20年の...
≫続きを読む
リフォームマンションの場合はどうでしょう前回(築20年リノベマンションの場合)は、築20年のマンションを購入してリノベーションした物件について、トータルコストの試算や評価額の推移について見てきました。今回は同条件のマンションをリフォーム済みで購入した場合について考えてみることにします。つまり、同じマ...
≫続きを読む
リノベマンションとリフォームマンションの比較これまでリノベマンションとリフォームマンションのコストシミュレーションを見てきました。両者の違いは購入時に700万円のリノベーションコストをかけるかという部分だけですが、10年後、20年後に売却を考えた際の自由度やトータルコストにも影響を及ぼしていました。...
≫続きを読む
3000万新築マンションの60年間をシミュレート2700万リノベ VS 2000万リフォームでは、築20年の中古マンションを購入し、リノベーションした場合としなかった場合の資産価値の推移やランニングコストの算出を行いました。中古マンションと比較して新築マンションはどのような資産価値やコストの推移を示...
≫続きを読む
実家暮らしと違って、インテリアを自分好みにしたり、好きな時間にテレビを見たりと、一人暮らしは開放感があって誰にも気兼ねをすることがありません。でも、一人暮らしのスタートである住まい選びを失敗すると、住み心地が悪くなってしまうかも。そこで、おひとりさまの住まい選びのポイントを解説していきます。シングル...
≫続きを読む
最近では独身でマンション購入する人も増えています。家賃と同じくらいの支払いなら、「賃貸よりも購入した方がオトクかも…」。そんな考えも頭によぎることがありますよね。ただ、おひとりさまのマンション購入は、気をつけるべきポイントがたくさん!注意点や知識として頭に入れておきたいこと、選び方など、徹底的にまと...
≫続きを読む
【1】錦糸町駅家賃 ★★★★☆人気度 ★★★☆☆通勤電車の込み具合 ★★★★★治安の良さ ★★☆☆☆買い物の利便性 ★★★★★交通の便 ★★★★★商業ビルが多彩で「買い物が便利」という魅力がある錦糸町駅周辺。錦糸町と言えば、下町のイメージがありますが、今ではぶらりと買い物を楽しめる利便性の高い街とな...
≫続きを読む
【1】港区東京の中心地にある港区は、利便性が高いのが魅力の区です。生活していくうえで不便になることはほぼなく、快適な生活ができるでしょう。資産価値も高いので、将来的に売却することになっても安心感があります。購入予算に余裕があるなら、検討の価値があるエリアと言えるでしょう。セレブ感漂うエリア飲食店や遊...
≫続きを読む
【1】天王寺駅家賃 ★★★☆☆人気度 ★★★★☆通勤電車の込み具合 ★★★★☆治安の良さ ★★★★☆買い物の利便性 ★★★★★交通の便 ★★★★★天王寺駅は、ひとり暮らしを検討している人にも注目される駅です。あべのハルカス、あべのキューズモールなどの大きな商業施設があり、若い人たちからも人気。ショッ...
≫続きを読む
【1】大阪市中央区大阪の中心的な位置に存在する「中央区」は、昼夜問わず活気があるエリアです。オフィス街・繁華街が広がっていて、各方面から人々が集まれるように交通事情も申し分なし。とにかく利便性にこだわりたいシングル暮らしにも人気があります。繁華街エリア心斎橋、なんば付近心斎橋やなんば付近は、「ミナミ...
≫続きを読む
新築マンションと中古マンションの比較イニシャルコストの安い中古マンションとそれよりやや高めの新築マンションでは60年間住んだ場合のトータルコストにどのような差異が生まれるのでしょうか。また毎月の住宅コストはどのような推移をたどるのでしょうか。ここでは3000万円で購入した新築マンションと2000万円...
≫続きを読む
分譲 VS 賃貸論争に終止符これまで分譲マンションの生涯コストについて見てきました。今回はこれまでの集大成として、分譲マンションと賃貸マンションの生涯コストをあらゆる条件で比較してみたいと思います。今後の平均寿命の予測から、多くの人は95歳まで生きるものと思ってください。少なくとも95歳までは住まい...
≫続きを読む
賃貸なんて200%住み続けてはいけない前回は新築マンションを購入しても最後まで住み続けることができるかは運次第(寿命次第)というお話をしました。新築マンションに最後まで住み続けるのが難しいとしたら、どのような戦略が考えられるのでしょうか。老後の収入を考えると、賃貸という選択肢はさらに現実的ではないと...
≫続きを読む
超低金利時代の到来住宅ローンの変動金利は今や0.5%台と破格の安値水準となっています。これは住宅ローン控除を利用すればマイナス金利(お金を借りて利息がもらえる)となる水準です。つまり、キャッシュでマンションが買えたとしても、一括払いではなく住宅ローンを組んで買った方がお得ということなのです。もちろん...
≫続きを読む
マンションのモデルルームに行くとよく坪単価という言葉を耳にします。既にご存知の方も多いと思いますが、ここで改めておさらいしておきましょう。坪単価とは坪単価とは、その名の通り、一坪あたりの単価(価格)のことです。一坪は約3.3uなので、例えば、66uのマンションは20坪ということになります。このマンシ...
≫続きを読む