30代からのキャリアを考える
30代は人生の分岐点
おひとりさまに限らず30代というのは結婚、出産、家の購入など多くの重要な選択を迫られる年代といえるでしょう。
仕事面では若手から中堅と呼ばれる立ち位置となり、忙しくも充実している人もいるでしょうし、先が見えてきてこの先どうしようと考えている人もいることでしょう。
30代はこの先の人生を決めるうえで大きな決断を迫られる時期であり、今後の人生を左右するスタートラインに立っている年代でもあるのです。
サラリーマン(キャリアウーマン、OL)のみなさまの中には、人生がこれまで聞いていた話とは大きく変わっていく流れを感じ取っている方もいるかもしれません。終身雇用が崩壊し、大企業といえどいつリストラされてもおかしくない時代がやってきたのです。そんな中でこれまでと同じ価値観でサラリーマン生活を漠然と続けていってよいものなのでしょうか。
60歳からの雇用延長
少し前まで60歳が定年でしたので、そこまで頑張ればあとは優雅な年金生活が待っているというのがサラリーマンにとって大きなモチベーションでした。しかし、今や定年は65歳、この先70歳まで延長されそうな雰囲気も濃厚となってきています。
ただ、この定年という言葉は少し誤解がありまして、正確に言うと65歳定年ではなく、65歳までの継続雇用が義務付けられたに過ぎません。つまり必ずしも正社員として65歳まで雇用する必要はないわけです。
企業からすればこれまで60歳定年を前提に社員の賃金計算をしていたのに、急に65歳まで継続雇用を義務付けられてもなかなか対応できるものでもありません。やむを得ず嘱託職員やパートタイマーのかたちで雇用延長(再雇用)することになります。
当然給料はダダ下がりとなり、それまで年収1000万円で働いていた部長クラスの社員が60歳を迎えた途端、年収300万円というケースも珍しくはありません。
これまで第一線で働いていた人が急にアシスタント的な業務に回され、給料も大幅減してしまうという環境に適応することができるのでしょうか。残念ながら継続雇用を希望した多くの人が1年経たずに辞めてしまうという現実があります。これまで部下として扱っていた人から逆に指示される立場になるわけですから、続かないのも当然と言えば当然といえるでしょう。
これまでの価値観が通用しない社会
ここでもう一度考えていただきたいのです。本当にそのような人生が幸せなのでしょうか。
ひと昔前までは60歳で退職金を受け取り、満額の年金も支給され悠々自適な老後を迎えることができる環境があったわけです。ですから、何の疑問も感じることなくサラリーマン生活を送ってこれたのです。リストラにおびえることもなく、再雇用や老後の年金について心配することもありませんでした。
現在はどうでしょうか。会社に誠心誠意尽くしたとしても業績が悪化すればリストラされますし、60歳から65歳(今後は70歳!?)まで年金の空白期間を埋めるために嫌な思いをしてでも再雇用を希望せざるを得ないというのが実態です。また65歳まで雇用が継続されるということは、企業の総人件費が変わらないという前提で考えると、その分現役世代の賃金が減らされることを意味します。
終身雇用を前提とした日本式賃金体系は、仕事のできる若い時期に賃金を抑えられ、50代でピークを迎えるように賃金カーブが設定されています。その賃金カーブも今後ますます低い軌道を描くようになっていくと同時に、40代になってこれからいよいよ賃金が上がり始めるという時期に無情にもリストラにあってしまうという可能性も十分に考えられます。
もはやバラ色の老後なんてやってこないのは明白なのに、これまでと同じ価値観でサラリーマン生活を続けることが本当に幸せなのでしょうか。中には恵まれた環境で65歳、70歳まで幸せなサラリーマン生活を送れる方もいることでしょう。そういう方は恵まれた環境にあるということに感謝しつつ、これからも頑張っていただければよいのです。
しかし、おそらく多くの方はリストラにおびえながら、老後の暮らしを心配しながら70歳まで働くという人生を望んではいないはずです。
では、これからのサラリーマン生活はどうしたらいいのでしょうか。
これにはいくつかの選択肢が考えられます。
30代からのキャリアを考える(後編)で具体的な選択肢について見ていきましょう。