おひとりさまの不動産投資入門〜ライフプランからの考察
国立社会保障・人口問題研究所による、「日本の世帯数の将来推計」※1によると、今から22年後の2040年にはおよそ4割の世帯が「おひとりさま」世帯になると推測されています。こうした「おひとりさま」時代を生き抜くためにはどのような老後の資金計画を立てていけばよいのでしょうか?
本記事では「おひとりさま」の老後資金計画をライフプランからご提案していきたいと思います。また合わせて、老後を明るく乗り切るために有用である不動産投資についてもご紹介していきたいと思います。
※1 参考:国立社会保障・人口問題研究所HP『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計)
おひとりさまの老後資金プラン
金融広報中央委員会「知るポルト」に見るおひとりさまの実態
金融広報中央委員会「知るポルト」によると、平成28年のおひとりさま家計の金融行動に関する状況は以下のようになっています。
@ 平均的な「おひとりさま」とは
平均年令は 43 歳。男女比は6:4となっています。またおよそ半数がフルタイム雇用の就業者となっており、手取り収入は税引き後311万円という結果になっています。
A 金融資産の保有状況
金融資産の保有額は 822 万円。金融商品別の構成比をみると、預貯金が 48.8%とおよそ半分を占めています。以下生命保険は 10.5%・有価証券(債券、株式、投
資信託)は 28.2%となっています。
一般社団法人 全国銀行協会HP*での基本シュミレーションへの当てはめ
参考:一般社団法人 全国銀行協会HPでの基本シュミレーション
金融広報中央委員会「知るポルト」に見るおひとりさまの実態に数値を一般社団法人 全国銀行協会HPでの基本シュミレーションに当てはめたところ、上記のような結果になりました。
貯蓄額は60歳で1,800万円(MAX値)。それから、公的年金と貯蓄を取り崩していくと82歳前後で貯蓄が底を尽きる結果になっています。
厚生労働省発表の2017年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳になっています。これでは老後資金が寿命よりも先に枯渇してしまうという結果になってしまいます。
おひとりさまの老後資金プラン総括
見てきたように、今の状況だと老後資金が足りていないことになります。60歳から80歳の20年間で貯蓄1,800万を全額食い尽くす想定になっています。
具体的には年額90万円月額75,000円定年後に貯蓄を切り崩す想定になっています。ですから90歳までなら90万円、100歳までなら180万円老後資金はショートする計算になります。ですから、貯蓄額を増加させるか、定年後も収入を得るかのどちらかを選択しなければいけない状況になっています。
老後資金の不足分を補うことができる「不動産投資」の魅力とは?
老後資金の不足分を補うために、不動産投資をするという選択肢があります。ここでは数ある投資商品の中で「なぜ不動産が良いのか」その魅力をご紹介していきたいと思います。
ミドルリスク・ミドルリターンの安全投資
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれています。株価などは、数日で半値になったりするケースがよく見られます。しかし、不動産が短期で半値になるといった事態はめったにあるケースではありません。
安全な「現物資産」への投資
その上不動産は投資した「モノ」がしっかりとわかるというメリットがあります。今や電子上の数値となりつつある株券と比較しても安心感が違います。
管理しやすい
不動産投資は最初に物件をしっかりと選択してしまえば、管理がしやすいことも投資上のメリットになっています。毎日のように値動きを監視しなければいけない株価や為替とは違い、ゆったりと投資することが可能です。
おひとりさまのメリットを生かせる
不動産投資では一般的に「不動産投資ローン」を利用して、レバレッジをきかせた投資をすることになります。この不動産投資ローンは組むことができる金額がその人の属性で決まることが多いという特徴があります。
おひとりさまの場合、ほかに家族の「生活費」はかからないといった点で不動産投資ローンが組みやすい状況になっています。また、前述した金融広報中央委員会「知るポルト」によるおひとりさまの実態レポートから、おひとりさまは住宅を取得していない層が多く、借金率も非常に低いため不動産投資ローンで優遇されやすくなっています。ですから、不動産投資はおひとりさま向けにピッタリの投資商品であるといえます
失敗しない不動産投資の始め方
見てきたように不動産投資はおひとりさまにピッタリな投資商品であることが分かりました。しかし、不動産が高額の投資商品ですから、できるだけ失敗は避けたいですよね。ここでは、投資初心者でも成功できる不動産投資術を紹介していきたいと思います。
詐欺業者に注意する
不動産投資で一番大事なのは不動産投資において正確なアドバイスをしてくれるパートナー選びになります。ですから信頼できる不動産会社を選ぶことが大事になります。下記の点に注意して不動産会社を選びましょう。
・過去の実績がある
・相場より高すぎたり、低すぎたりといった極端な見積もりを出してこない
・会社としての強みを持っている(地元密着型や全国展開であることの知名度の高さなど)
・担当者の態度が誠実であること(しっかりしたデータからアドバイスができているなど)
不動産投資の基礎知識を勉強する
不動産投資は経営学・税法・民法など幅広い分野の知識を必要とする投資商品です。全てを詳しくわかる必要はありませんが、最低限度のことは勉強するようにしましょう。具体的には下記のことになります
・物件の「相場」を算定することができる(利回りの計算ができる)
・簡単な簿記知識がある(確定申告ができる)
・物件選びのポイント(詳しく後述します)
・投資全般に関する知識
不動産投資の成否は「物件選び」で決まる
不動産投資の成否は物件選びで決まるといっても過言ではありません。不動産投資に関する知識がなくても、優良物件を購入することができれば不動産投資で成功することができるくらい重要なポイントになります。では、どのような物件を選択すればよいのでしょうか?
@ 不動産は立地で決まる
不動産は「立地」で価格がほぼ決まってしまいます。ですから、好立地の物件に投資するようにしましょう。具体的には地方投資より、首都圏投資。特に駅からの距離が重要になります。
また、ショッピングセンターなど生活に必要な施設の近くも立地では好条件として評価される傾向があります。
まず「自分が住みたい立地であるか」消費者目線に立って立地を評価すると、立地の選択が理解しやすくなります。
A 戸建てよりもマンションを選択する
不動産投資では戸建てよりマンションに投資していきましょう。一棟建てではなく、最初は慎重に区分マンション(マンションの1室)を選択することで、堅実に不動産投資に対する経験値をあげることができます。また、物件の購入に関しても自然と分散投資することができますので、自然と「負けない」投資をすることが可能です。
B 高層階のマンションを狙おう
またマンションの場合は眺望の良さから、高層階の物件が人気になっています。安い低層階の物件より、高層階で借り手がつきやすい物件を選択しましょう。
税制を知ろう
不動産投資には税金面での知識が不可欠になります。具体的には「不動産投資には節税効果がある」といわれていますが、具体的にはどうして不動産投資には節税効果があるのでしょうか。
不動産は総合課税方式になっています。簡単に説明すると、サラリー(給与所得)と不動産所得は合算で税率が決定することになります。年収が300万円で不動産収入が50万円の場合は350万円の課税標準で所得税と住民税の税率が決定されるという仕組みです。
しかしそれでは不動産投資で「節税」になりませんよね?不動産投資は経営要素が強いことは前述したと思います。実は不動産所得は不動産収入(家賃)からかかった費用を控除した額で決定されます。ですから「費用」が大きければ不動産収入はマイナスになります。不動産所得は総合課税方式ですので、給与所得と合算することで課税標準額が低くなり「節税」効果を得ることができるのが不動産投資の特徴になるのです。
でも、せっかく不動産投資をしたのに「赤字」では投資する意味がないと思われる方も多いでしょう。不動産投資の肝は物件の「減価償却」にあるのです。減価償却費は実際はかかっていない費用を「減価償却」という経理上の項目で発生させることができる便利なアイテムです。具体的には、4,700万円でA物件(マンション、新築)を購入したとします。この場合、法定耐用年数である47年分の減価償却が可能になります。4,700万円÷47年=100万円と1年で100万円ずつ「減価償却費」を計上することができるのです。
ですから、実際には支出はないにもかかわらず帳簿上は「費用」として計上できる減価償却の効果で、「節税」することが可能になるのです。
不動産投資のリスクはあるの?
不動産投資はメリットの多い投資商品ですが「投資」商品であるのである以上、リスクも存在します。ここでは考えられるリスクと対処方法をご紹介していきたいと思います。
空室リスク
不動産投資最大のリスクは空室リスクにあります。家賃は発生しないのに、ローンの支払だけが発生することになるからです。空室対策は物件選びが肝です。最初に好立地で入居者が決まりやすい物件をチョイスしましょう。
天災リスク・家賃滞納リスク
地震などの天災リスクや入居者の家賃滞納に対するリスクは保険に加入することで対処することができます。
このように不動産投資はリスクに対する対処方法があるため、リスクを抑えやすいという性質があります。
まとめ
不動産投資はおひとさまにとって有用な投資方法であることがお分かりいただけたと思います。最終的に空き物件になってしまっても、自分が住むことで家賃という固定費を削減することができるため、おひとりさまにとって最良の投資商品であるといえます。老後の資金の運用に不動産投資を活用してみてはいかがでしょうか。