糖質制限ダイエット(基礎編)
なぜ糖質を制限すると痩せるのでしょうか
ここ最近糖質制限ダイエットが一世を風靡しています。これまでダイエットといえばカロリー制限が主流でしたが、糖質を制限することでなぜ痩せることができるのでしょうか。
まずは糖質と肥満の関係について見てみることにしましょう。
余った糖質が脂肪に変わる?
これまでは3大栄養素の炭水化物、脂質、タンパク質のうち最も高カロリーな脂質を減らし、一日の摂取カロリーを適正化しようというのがダイエットの基本とされてきました。ハンバーガーやフライドポテトに代表されるアメリカンな食事をなるべく減らしていきましょうということです。
しかし、アメリカでも日本でも脂質摂取量は減り続けているにも関わらず肥満は急増しているという現実があります。なぜ脂質の摂取量が減っているにも関わらず肥満の人が増えているのでしょうか。ここで焦点が当たったのが炭水化物すなわち糖質なわけです。(炭水化物は食物繊維と糖質から構成されていますが、糖質制限の世界では炭水化物=糖質の意味合いで考えてよいでしょう。)
食事で摂取した糖質のほとんどは膵臓から分泌されるインスリンにより中性脂肪に変換され脂肪細胞に蓄えられます。脂肪細胞では安静時に中性脂肪が分解されて血中に放出されますが、インスリンはこの脂肪分解も抑制します。
人類はこれまで飢餓との戦いの歴史だったのでこのように食事によって摂取したエネルギーはできるだけ備蓄しておこうという仕組みになっているわけです。その中で大きな役割を果たしているのがこのインスリンということになります。
このインスリンの分泌を抑制して脂肪の備蓄を抑えるというのが糖質制限のひとつめの目的なのです。
ブドウ糖がなくても脳は働きます
糖質制限の仕組みは分かったけど、糖質を取らないと低血糖になって脳も働かないのでは?という疑問が浮かんできます。人間のカラダは大したもので、実は糖質を取らなくても何ら問題なく機能することができるのです。
糖質を取って血糖値が上がるとインスリンが分泌され血糖値を下げようとしますが、逆に血糖値が下がるとグルカゴンというホルモンが分泌されて血糖値を上げる仕組みになっています。
グルカゴンは肝臓に蓄えられた糖質をブドウ糖に分解して血糖値を上げるのですが、肝臓ではアミノ酸(タンパク質)や中性脂肪(脂質)に由来するグリセロールを原料にブドウ糖を作る糖新生が行われます。よって、3食糖質を抜いた食事をしても血糖値は正常範囲内に収まり、低血糖にはならないのです。
また上記に加え、脳はブドウ糖以外にも肝臓で中性脂肪を分解した脂肪酸から作られるケトン体も使うことができます。ブドウ糖がなくても脳はその必要量のほとんどをこのケトン体でまかなうことができるのです。
普通に食事するだけで脂肪がどんどん消費されます
このように3大栄養素のうち炭水化物の摂取を極力減らして、タンパク質と脂質だけで日々の食事をまかなうのが糖質制限ダイエットの基本になります。
糖質を摂取しない分、糖新生やケトン体を生成するためにタンパク質(アミノ酸)と脂質(中性脂肪)がどんどん消費されますので、これらの栄養素はしっかりと摂取する必要があります。
なんと糖質を抜いた食事をするだけで脂肪がどんどん消費されてしまうというまさに夢のようなダイエット方法なのです。